また現金給付?有難いけど…の裏で疲弊する市町村現場。今こそ制度の根幹と公平性を見直すタイミングでは?

未来拓く、みうらひらくです。
津山市議会議員、三浦ひらくです。

津山市議会では6月定例会の真っ最中…質問戦のスタートは来週月曜日に迫った土曜日ですので、本日も朝から今からなんだけど質問に盛り込んでもらえないか的なリクエストが届くなど…準備にはある程度の時間を費やしました。すでに当ブログでも何度も貼り付けてきていますが…今回の質問戦は以下のような内容で、4日間にわたり16名の議員が登壇して行われます。

ほぼ同じ時期に定例議会が開かれることが多い岡山県議会の動きも、今回は少し気にしています。そして報道等ですでにご存知の方も多いとは思いますが…国政の方でも色々な動きが出てきているところですね。

参院選直前、“バラマキ”が表舞台に出てきたわけです。

また5万円配るってマジなの?今のままの現金給付バラマキ政策には反対!目的達成の効果・効率最大化を考えて実施すべし。

2025-04-09

この話はなくなってと思っていたのですが…結局こうして出てくるわけですよね。

政府が物価高対策として、すべての国民を対象とする給付金の実施を決定したとのこと。

国民1人あたり2万円を給付、子どもや住民税非課税の低所得者には2万円を加算するという内容であり…自民党としての来月の参院選の公約としても掲げる方針と報じられています。背景には物価高騰への対策だけでなく、アメリカの関税措置による日本製品への打撃懸念などもあるとのことですが、しかし、果たしてこれが本当に的を射た政策なのでしょうか。上に貼り付けたエントリーなどでも書いてきているように、私自身は極めて懐疑的です。

「また現金給付ですか?」という、率直な感想。

今回もまた「将来が不安だから」と貯蓄に回る可能性が高いと考えられます。パーッと使っちゃおうって話にはなかなかならないでしょうし、「そもそも2万円って…」って声が津山市内からも、やっぱり聞こえてきています。コロナ禍の際の一律10万円給付のときもそうでしたが、消費に回されたのは一部にすぎなかったという調査結果もあります。我が家は全額使い切りましたが…多くの家庭は「有難いけど使えないよね…」と財布の紐を締めたのが現実ではないでしょうか。つまり、経済効果は極めて限定的だと考えられます。

それ以上の問題が、給付の裏にある“見えにくいコスト”です。

現金給付には、給付そのもの以上のコストが掛かる場合すらあるわけです。封筒の印刷、通知送付、本人確認、口座確認、支払い処理…単純に費用として計上される金銭的コスト以外にも、人的リソースを割かざるを得ないことは明白で、そのすべてが市町村職員の仕事になるわけです。

今回の方針が公表された直後、熊谷俊人千葉県知事がFacebookに投稿された内容は、現場感のある本質的な問題提起だと感じました。

「全国の市町村が同じ作業をバラバラに行い、本来の福祉業務などに充てるべき人手と予算が浪費されていく」

「国会議員は、まず現場に来て給付事務に従事してみたらどうか」

まさにその通りだと言えると思います。先日、千葉県は全域が国家戦域特区に指定されました。こうしたことをハッキリと発信できる首長は素晴らしいなと…普段から勉強させていただいている政治家のお一人ですが、改めてそう強く感じました。

なぜ、いまだに仕組みがないのか?

マイナンバーカードと公金受取口座を連動させた仕組みがあるにも関わらず、それを全員に徹底的に活用させる仕組みは未整備です。しばしば聞かれる「公金受取口座が登録された人だけに支給すればいい」といった発言が出てきて、仮にそうした対応が取れたとしても(そこまで突き抜けられる自治体は実際には現状では皆無でしょう”登録されていない人との照合・対応”が必要となり、作業量は減るどころかむしろ増えることが想定されます(そうした作業に人間が関与しないのであれば話は別)。

制度設計が破綻しているとすら言えないでしょうか?

自治体が年度ごとに予算を組み、決算があり、事業の見直しをすることは良いと思っています…ただ家庭でも会社でも行政でも、単年度の収支だけで物事を判断してはいけないのは共通のはず。将来を考えなくてはならないからです。

熊谷知事が書かれているように…「じゃあ税収が減ったら増税するの?」「物価が上がるたびに現金配るの?」となってしまううようなやり方は、極めて場当たり的で、財政規律の観点でも極めて危ういロジックだと言えると思っています。

本当に困っている人を支えるために。

非課税世帯の約75%は高齢者、しかもその多くがある程度の資産を保有しているという統計もある(国民生活基礎調査などを参照)わけです。ただ、高齢者世代内の資産格差が極めて大きいことなどに鑑みても、もちろん高齢者支援自体は大切で必要な姿勢です。世代間で支え合うというコンセプトのもとで運用されてきた公的年金制度で起こっている不均衡以外にも、例えば介護保険や高齢者医療費の急速な増加により、社会保障全体を支える財政が厳しくなっていることで国民皆保険制度は近いうちに維持できなくなるような懸念は単なる“懐疑”ではなく、統計や制度研究を踏まえた現実的な問題と言えるでしょう。

だからこそ世代間バランスを考えた制度設計が必要なのではないでしょうか。

私は、現金給付という「手段」そのものに懐疑的です。困っている人をサポートしていくのは政治の最大の役割の一つと言えるでしょうが、それが「困っていない人にも一律でお金を配る」ことでないことは明白です。

的確に、効果的に、持続的に。

限られた財源等をどう使うっていくのかという問いに対して、今の政治が出している答えはあまりにも安直で、場当たり的です。そしてそれは、国だけではなく多くの都道府県や、市区町村…津山市にも残念ながら当てはまる部分が少なくないと感じています。

だから地方議会から、そして現場から声を上げ続けることが大切です。

繰り返しますが、現金給付を行うのは市町村の現場なのです。あなたが津山市にお住まいでなくても、お住まいの自治体においてもきっと、過去の給付のたびに事務作業に多くの人員が割かれ、通常業務に影響が出ている現実があるはずです。

再び同じようなことを、参院選直前にやる意味とは?

私は、そこに真の政治的誠実さは見出せないように感じます。国や県の動きを注視しながら、私自身は津山市議会の一員として、市民の皆さまが政治と無関係ではないことを、丁寧に伝えていきたいと思っています。

昨今の出来事などを受けて…少しこの週末に、今回の議会質問の構成も根本から考え直してみようかなと考えているところです。冒頭に紹介したように質問通告はすでに出していますから、項目を変えるわけにはいきませんが…着地の仕方を変えてみたり、タイムリーな出来事を盛り込む余地はまだ残っているし時間的余裕もあるので、最後の最後まで精査を重ねて、質問が目的達成のためのより効果的・効率的な手段となるように努めていきます。

本日はこんなところで。また明日!

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三浦 ひらく

三浦 ひらく -PROFILE-

世界を暮らしやすく楽しく変えるため、相棒ひらくマと一歩ずつでも現状改善していくために日夜ハゲむ、1978年生まれの岡山県津山市議会議員。選択肢の多い社会を目指し、政治も手段の一つと捉え、地域振興、多様性理解促進、生きづらさ解消、表現の自由を守るための活動、インフルエンザ脳症撲滅、臓器移植意思表示推奨などをライフワークとして活動している。

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