未来拓く、みうらひらくです。
津山市議会議員、三浦ひらくです。

津山市議会では明日から質問戦が始まるというタイミングなのですが…本日は日曜日にもかかわらず多くの津山市職員さんを中心に、自治体職員やまちづくりに関心がある一般の方…そして5人の津山市議会議員を含め市外どころか県外からも何人もの地方議員が集って開催された、自治体経営を考える津山市職員有志の会の皆さまの主催による勉強会に参加させていただきました。
控えめに言って、最高でした。
10時から16時半ごろまでの時間があっという間に感じられるほど…超面白くて、とても参考になる話が伺えました!

津山市の財政状況は厳しい。
これは津山市議会の中でも何度も見聞きしてきたフレーズですし、私自身もしばしば市民の皆さまに対して本市の状況説明をさせていただく際に用いている表現です。ただ、財政状況が厳しいというのは…そもそもどういうことなのか?地方自治体にお金がないというのは、どういう状態を指しているのか?こうした声に、どう答えるべきか‥答えられるのか?
今回参加させていただいた勉強会は、そんな疑問に真正面から向き合うものでした。
講師は福岡市の元財政調整課長、今村寛さん。
私のような者でもお名前とお顔は存じ上げていた、財政を現場の肌感覚から徹底的に分析されてきた方で…超売れっ子と言っても差し支えないでしょう、日本中を飛び回っておられる出張財政出前講座のプロフェッショナルです。ご本人には確認していませんが…ほぼ確実に、サザンオールスターズがお好きなんだろうと思います。午後からの気合いを入れてのパートでは、着替えておられたのでね!

ただ話を聞くだけの講義ではありませんでした。
実際の予算査定や政策提案をシミュレーションするロールプレイ型のワークショップも行われた、極めて濃密で贅沢な勉強会で、自分自身の理解が深まっただけでなく、議員としての立場での発言責任を改めて自覚する機会にもなりました。質問戦を前に、議会質問作成を一旦置いておいて参加させていただいたわけですが、このタイミングでこうした機会を得られたことも何かの巡り合わせだとは思うくらいに…自治体職員の皆さまと立場を超えてコミュニケーションをとらせていただく機会にもなりましたし、新たなご縁がいただけたことも大きな成果と感じられる、有難い時間でした。
膨大な量のインプットがあったのですが…まだ正直、アウトプットできるような消化が全くできていません。
とりあえず本編に入る前のアイスブレイク(初対面の人同士や緊張した状況下で、緊張を和らげ、円滑なコミュニケーションを促すための様々なコミュニケーション手法)からしてメチャクチャ面白かったので、その概要くらいは共有しておきましょうか。何かの場で今度パクらせてもらわなくちゃと思う自己紹介&他己紹介がセットになった内容で…3つの禁止事項がありました。
①仕事の話をしない
②組織・団体の話をしない
③場所の話をしない
この制限により自己紹介が絶妙にやりづらくなることは、皆さまも想像ができるのではないでしょうか。
こんな感じで、切れ味鋭いマシンガントークの合間に笑いもガッツリ入れ込んでくださりながら、午前中は準備運動的に財政の基本のキの部分を教わったという印象でした。
自治体予算は「使うためにある」ものであって、「ため込むためのもの」ではないというのが原則です。ところが多くの自治体では、「何かあった時のため」にと基金を積み増し続け…結果的に使わないまま終わってしまっているような例も少なくありません。私自身、津山市議会始まって以来の長さじゃないのかとも言われた昨年の決算質疑でも、その辺りは予備費の項目などで質してきています。
議会議員の中からも、何かあったときのための備えとして、もっと多くの基金を積んでおく必要があるという指摘はしばしば聞こえてくるわけですが…ため込む姿勢が行き過ぎると「なぜ、私たちが今まさに納めている税金が、今現在の自分たちの暮らしの充実のために使われないのか?」という、市民感覚からすれば当然の疑問にも繋がりかねません。
そうした問いに対して、財政サイドからも明確な説明が必要だという趣旨のお話もあったように受け止めました。私は上に貼り付けたエントリーで紹介している昨年の9月議会での発言に代表されるように、恐らくどの同僚議員よりも基金の積極的な運用を促している派なので、これは有難い話が聞けたなと感じた部分もありました。
ワークショップは、参加者が5〜6人ずつ6つのグループに分かれ、非常にしっかりと設定が作り込まれた架空の都市・えふ市の職員になりきり、それぞれが部局の長の役割を演じつつ、増大する社会保障費への対応などのため、既存事業の廃止や地方債発行などをめぐる議論を重ねるというユニークなものでした。このゲームのルーツは福岡県の取り組みのようでして超絶に面白く、自治体職員…しかも幹部職員の皆さまの、様々な意味でのジレンマを抱える立場を疑似体験させていただけたことによる学びと気づきは、ちょっと一言では表現できない貴重な時間でした。
ちなみに私は市民・防災局長役を務めさせていただきました!
これ書いていて、すぐにでもまたやりたいなと思うくらい楽しかったのですが…文字で表現しようとすると(まぁ要因は私の文章力の無さなのですが…)途端に熱量が下がってしまうので、これは是非とも皆さまに実際に体験いただきたいところ。議員仲間にやっていただきたいなと感じたのはもちろんですが…一般の皆さまにも、総合計画策定のプロセスの一環として取り組んでもらっている自治体もあるなんて話も伺いました。
津山版もプレイしてみたいね(関係各位に丸投げ)!

そして…このワークショップのクライマックスは、自分たちが侃侃諤諤の議論を交わした結果、何とか全員一致で決断して作成した予算編成の素案に対して…他の班のメンバーが議員としてテーブルにやってきてグダグダと文句を付ける色々と質問するわけです。
自分たちでも同じテーマに取り組んでいるわけですが、さっきまでチーム内で真剣に事業についていかに継続していくことが重要であるかなどと論じていたにもかかわらず…ついつい他のテーブルにお邪魔すると意地悪を言って、不要じゃないかと言ってしまったり…こうした“感覚のズレ”こそが、組織内に不信感や無駄な摩擦を生んでしまう要因でもあり、同時にそれはリアルでの執行部の面々と議員との関係性にも当てはまるものなんだと感じました。
疑似体験できて楽しかったし…それ以上に、なるほどと思う部分もありました。どんな立場の人間が参加しても、気づきがあると思います。まずはチーム内での対話により合意形成するプロセス、そして市の幹部職員と議会という立場での対話による本当に価値ある市民サービスの創造プロセスという二つの過程を、(日曜日にこんなことしているなんて、それぞれがやる気ある面々ばかりですからね!)楽しみながらも真剣に体験することができるのです。
昨今脚光が当たっている感もあり、多くの自治体で当たり前のように活用されている「ふるさと納税」や「ガバメントクラウドファンディング(GCF)」といった制度についても、今村さんは警鐘を鳴らしておられたと思います。
言われていた「寄附が集まりやすい事業が、必ずしも“必要な”事業とは限らない」あるいは「支援の声が多い=住民ニーズだとは言い切れない」といった所感には、先だって報道されていた件などを想起して、強く同意の気持ちを覚えました。
例えば全国から寄付が集まりやすい「動物愛護」や「子ども食堂」などのテーマはGCFとの相性が良いと考えられます。しかし、それを理由に“集まる事業だけを優先して政策化する”のは本末転倒も良いところであり、「地域の本当のニーズ」とは乖離した方向へ誘導されかねないという視点は、極めて重要だと感じました。あ…もちろん、今村さんはこんな下品というか攻撃的な言い回しはされていませんし、具体的な取り組み事例も私が勝手に挙げただけです、すみません!

政策の見直しは決して悪いことではなく、むしろ未来のために必要な戦略です。
既存事業の見直しは“進化の一部”になり得るものだと本日改めて感じました。
新しい政策を始めたければ、多くの場合はその分だけ“何かをやめる”必要があること…難しいことだけど、きちんと説明すれば多くの市民は納得してくれること、そしてそれはしなくてはならないことだとも、再認識したところです。
だからこそ、行政や私たち議員は“予算の使い道”を明確にしていかねばなりません。

今、自由に使えるお金がいくらあるのか?何に対して、いくら使っているのか?そのお金は、どこから来ているのか?来年度以降、どれだけ残る見込みなのか?
例えばこのあたりの全体像を、きっとザックリでもわかりやすく伝えることが大切であり、それができていないからこそ”不要な不信感”が生まれているのかもしれません。この勉強会を通して痛切に感じたのは、“数字”の裏にある“人の意思”を汲み取ることの重要性でした。
数字は嘘をつきません。
ただ数字に人の意思が込められるのはあり得ることですし、何かを示すことはあっても、すべてを語ってはくれません。数字がどう積み上げられ、どう動かされようとしているのか…誰のどんな意図がそこにあるのかという”背景”に目を向けることも大切かもしれないなとも感じました。ビジョンや夢という言葉で語られていた”理想”が、そうしたところにも隠れているかもしれません。それを住民に正直に伝えること…それは政治家の責務でもあるでしょう。
内容を理解しきれていないことで取り留めもなくなってしまい、非常に長いエントリーになりましたが…本日の学びを、とりあえずは6月議会での言動にしっかり落とし込み…市民生活向上のために生かしていけたらと思っています。
今村先生、そして段取ってくださった関係各位、本当に有難うございました!
今村先生には仕方ないなぁって感じで金のバックルに突っ込んでもらえたので…それだけで大満足御馳走様でした。
本日はこんなところで。また明日!