未来拓く、みうらひらくです。
津山市議会議員、三浦ひらくです。
津山市議会3月定例会での質問戦を終えて、多くの声を市民の皆さまから寄せていただいています。光井新市長体制となって初めての質問戦ということで、市長の考え方を聞く議員が多かった印象ですが、そんな中でも複数の議員が触れた美作大学公立化は、今までにも当ブログで触れてきている通り…現在の津山市政において極めて大きな課題の一つです。
私自身はこの件に特化して議論する美作大学公立化調査特別委員会の委員長を務めさせていただいていることや、今回自身で伺うような必要性を感じなかったことから取り上げていませんが…市長が交代した今、改めて市民の皆さまにも考えていただきたいと思っています。そしてそれは光井市長とも思いを同じくするところだと感じましたし…少し整理してみます。
そもそも美作大学公立化の話は、津山の中だけで完結するローカルな案件ではありません。
だからこそ私は議場で誰よりも先に、広域連携を図っていくべきだと訴えてきました。同じように思っている方は同僚議員だけでなく、市民の中にも決して少なくないはずです。
内閣府は3月2日付で”令和8年度地方大学・地域産業創生交付金”の公募案内を更新しています。公募資料では事前相談を必須とした上で、書面・現地・面接による複層的な評価を行い、面接評価は原則首長対応とされ、Q&Aでも首長や事業責任者らが対応する想定と明記されています。つまり、地方大学を核にした地域づくりは、担当課任せではなく、自治体のトップが前面に立つべき案件として扱われているということです。令和8年度予算案の概要(PDFファイル)でも、地方大学づくりを進め、地域における若者の修学・就業を促進する方向性が明記されています。つまり国は、単に大学を残す話ではなく、大学を核に地域の未来をどう設計するのかを自治体、そして首長に問うているのです。
光井市長の姿勢が今後非常に重要であることは言うまでもありませんが、この流れの中で考えてみても、美作大学公立化の議論は、「大学を助けるかどうか」という話ではないのです。津山市が、高等教育をどう位置付けるのか。若者の進学、地域人材の育成、地元就職、産業との接続、そして人口減少時代のまちづくりをどう描くのか。まさに地方自治の根幹に関わるテーマ、まちの将来に直結する課題です。
経過を振り返ると、美作学園から津山市に対し公立化に向けた検討を求める要望書が提出されたのは令和6年1月29日でした。丸2年が経っています。その後、市では前提条件確認のため学園側に照会をかけ、その回答は令和7年1月30日に提出されています。ここ時間掛かりすぎでしょとは思いますが…令和7年6月21日、第1回の有識者検討会議が開催され、本格的な検討が進められてきた経緯があります。
ここで重要なのが、全5回にわたり開催された有識者検討会議の報告書です。
印象論ではなく本件を論じるのであれば、最低でも概要版くらいはご覧いただいておきたいところです。この中では現時点では公立化は他の方策と比べ、学生募集や財務基盤強化の面でより実現可能性が高いと評価される一方…将来的な市の財政負担リスクを伴うこと、さらに大学の魅力向上に向けた大学自身と津山市の不断の努力が不可欠であることが明記されています。つまり当然ながら、「公立化すればすべて解決」という甘い話ではないということです。
美作大学の存在意義についても触れられています。
今や地域唯一の大学として、教育・人材育成だけでなく地域経済や文化を支える代替困難な存在であり、持続可能なまちづくりに欠かせないと位置付けられています。また、津山市への経済波及効果は毎年約19億1,300万円、学生・教職員の地域居住による人口増は約1,000人、市民税と地方交付税だけでも約6,000万円の増収に繋がると推計されています。数字の計算根拠や設定見込みなどに甘さが感じられる部分は残る印象を持っていますが…少なくともこうした数字を見れば、大学の存続問題は教育政策であると同時に、地域政策そのものでもあることはご理解いただけると思います。
さらに報告書では、公立化した場合の効果として、授業料の低廉化、知名度やブランド力の向上による学生確保の可能性、そして地方交付税を財源とする運営費交付金の増加による財務基盤の安定化などのポジティブな要素が挙げられています。高校生を対象としたアンケートでは、公立化した場合に美作大学への進学に興味・関心をもつ生徒が約2倍に増えるとされ、収支試算でも、私立のままでは継続的な赤字が見込まれる一方、公立化により大幅な改善が見込まれると整理されています。
当然、見落としてはならない前提条件もあります。
公立化を要望している部門は美作大学および美作大学附属幼稚園(高等学校は含まない)であり、学園から大学と幼稚園の運営に必要な土地・建物・設備備品・図書等が無償譲渡され、運営経費として約8億円が寄附される見込みであり、負債は引き継がないとされています。附属幼稚園のあり方については、市内全体の幼児教育体制も視野に入れた上で一体的に検討する必要があるとも指摘されています。ここは制度設計上、かなり重い論点であると考えています。
実は津山市では、令和3年時点の中・高等教育機能のあり方に関する有識者会議報告書(PDFファイル)でも、美作大学公立化は検討すべき選択肢になり得るとしつつ、学部改組や施設更新、事業継続性の検証、市民や経済界の理解醸成が必要だと整理しています。これも当たり前の話ではありますが、今回の公立化議論は、まったくの新規論点ではなく、以前から積み上げられてきた問題意識の延長線上にあるとも言えます。
だからこそ私は、この問題を「私立大学を公立化するかどうか」という制度論だけで終わらせるべきではないと思っています。
問われているのは、津山市が美作大学に何を期待するのか、大学は何を変えるのか、市はどこまで責任を負うのか、そして市民にどんな成果を返していくのかという…将来にわたり、全ての津山市民に関係してくることです。そしれこれは津山市民だけでなく、周辺自治体の皆さまにとっても決して無関係なことであるとは思えません。
大学があること自体に意味があるのは確かです。しかし同時に公費を投じる以上は、理念だけではなく、成果も持続性も問われるのです。若者が集まり、学び、残り、地域を支える循環を本当に作れるのか…ここを曖昧にしたままでは、公立化の是非を語ることはできません。
最初の方で触れたように国は今、地方大学を核に若者の修学・就業を地域に繋げる方向を明確に打ち出しています。美作大学公立化は、その大きな流れの中で津山の未来をどう描くかを問われる案件です。
大学を核とした持続可能なまちづくりを実現できるのかを問う議論として私たち自身が考え、結論づけねばなりません。
結論を急ぐべきではありませんが、いつまでも先送りできる話でもありません。市民の皆さまの市政への関心が高い今だからこそ、短期的な損得や感情論に流されず、津山市全体にとって最も適切な判断は何かを、丁寧に、そして真剣に議論していく必要があると思うのです。
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