未来拓く、みうらひらくです。
津山市議会議員、三浦ひらくです。
来月から津山市立鶴山中学校内に設置される、”学びの多様化学級”の現地視察に参加してきました。
当初これは総務文教委員会のメンバーを中心に企画された視察でしたが、学級の性格上からも何度も視察に行くこと自体が好ましいことではないと考えられることなどから、何と総勢16名の津山市議会議員が、議会事務局からも3名の職員さんに出てきてもらって…3台の公用車に乗り合わせて、現地へと向かいました。まぁ市役所からだと歩いてでも行けるであろう距離ではありますが…自家用車で現地集合しては学校にも迷惑が掛かりますし、時間の都合などからも、むしろ効率重視で必要な対応だったと思います。
それよりも特筆すべきは参加者の多さ!
学校関係者だけでなく、当ブログ読者の方にも存じてくださっている方が少なくないと思いますが…不登校・長期欠席の児童生徒の当事者支援に向き合い続けている身として、この件に関しては同僚議員の誰よりも強く興味関心を持ち、調査研究もし続けてきている自負があるからこそ書いておきますが…こうして参加いただけること自体はとても心強く、個人的にも有難いと感じることです。ただ、その上であえて触れておくと…(さすがにそのくらいは調べておこうぜ!)(いやそれ、何回も質問でも出ていたし、教育委員会からも情報発信しとることやん!)と感じるようなシーンも多々ありました。
別に特定の誰かを非難する意図はないので詳細を書くことは控えますが、大事なことだと思うからこそ書いています。今日に限った話ではありませんが…視察等を意義深いものにするためにこそ、自分自身でも個々に最低限の予備知識は詰め込んでから、場に臨むべきだと、個人的には強く思っています。それは引いては津山市のために必要な姿勢ではないでしょうか。
前置きが長くなりましたが、現在絶賛設置準備中でまだまだ備品なども揃っていない状態の現地において、教育委員会の学校教育課長から説明を受け、その後、質疑応答も行いました。こういう支援の枠を広げる的な施策に関するテーマって、ちょっと油断すると「良い取り組みですね!」で終わりがちなんですよね。でも、そんな薄味コメントで済ませて良い話でないことは明白です。なぜならこれは、単なる新教室設置案件ではないからです。
学校に行きづらくなった子どもたちの”学び”を、どうやって繋ぎ直すのかという…義務教育のど真ん中をブチ抜くテーマだからです。
相手は数字でも制度でもなく、一人ひとり事情も学力も、痛みも違う子どもたち。
簡単な話であるはずがないのです。だからこそ、ちゃんと見に行く意味があるわけです。本当のことを言えば、身も蓋もなくなるけど…一回見に行ったからと言ってわかったようなことが言えるはずもないことだと思っています。以下に、本日実際に現場で交わされた質疑応答をベースとして、ザックリと所感をまとめていきます。当事者を含めて、情報を得たい方々からのニーズを届けていただいていますので…状況改善の参考になれば幸いです。
「居場所づくり」で片づけてはいけない話
今回の説明を聞いてまず感じたのは、学びの特別学級は単なる”居場所”として設計されているわけではないということです。もちろん、安心して過ごせる場所であることは大前提ですが…それだけではありません。この学級は、在籍校に籍を残したまま通う仕組みで、ここでの活動は元の学校での出席扱いになるわけです。つまり、元の学校との関係を切って別の場所へ行くのではなく、在籍校との接続を保ちながら、新たな選択肢としての学びの場をつくるという趣旨。
ここ、大事です。
学校に行きづらい子に対して、今までの場所に戻れと迫るのは乱暴そのものです。だからと言って、一律に、別世界でどうぞと完全に切り離すのも、それはそれで不安などが大きい場合も多いと感じています。だからこそ繋がりは残しつつ、学び方は変える…この発想はかなり現実的で、丁寧な制度設計ではないでしょうか。
実は根深い”学びのつまずき”問題
説明の中で繰り返し語られていたのが、「不登校の背景には学びのつまずきが相当ある」という”事実”でした。例えば…不登校の理由には、人間関係がしんどい、集団への所属が苦手、学校という空間そのものに疲れてしまう、あってはならないことですが厳然と存在する”いじめ”など…本当に多様な理由があります。でも、それだけではないのです。
「授業がわからない」
「当てられるのが怖い」
「今さらわからないなんて言えない」
「小学校の内容から怪しいけど、もう中学生だし誰にも聞けない」
こうしたところから、じわじわ学校から足が遠のいていく子も少なくないというわけです。
これ、メチャクチャ重い話です。
想像してみてください…大人だって、会議でみんなが当然のように話してることが自分だけわからなかったらキツいでしょう?
しかも学校ではそれが毎日、毎時間続くわけです…そりゃしんどいはずです。そんな状態では学校に行くこと自体がつらくなるのも当然だと思いませんか?
だから今回の学級は、学校に行けない子の避難場所ではなく、学び直したい子が、学び直せる場所として位置づけられていました。ここは私は大いに頷いたところです。
子どもに必要なのは、”選ばされる”ことではなく”選べる”こと
議会でも永遠のように主張し続けてきていることですが…大人の押し付けはいけません。
学級の理念として説明されていたのは、子どもたちが自分のペースで夢や目標に向かい、学び方も含めて自己決定していくという考え方でした。
できるだけ多くの選択肢を示す。
その中から、自分で選ぶ。
そして、自分で決めて進んでいく。
言葉にすると美しい…ただ、現実にはそう簡単ではないことにも配慮が必要です。だって、「選んで良いよ!」と言われても、そもそも選べる心の余裕がない時だってあるわけです。何を選べばいいか、自分でもわからない場合だってあるでしょう。
例えば誰かにお弁当を買っておいてと頼まれたとする…「何でも良いよ!」って言われたときが一番困りませんか?
本当に必要なのは、”自己決定”という名の丸投げではなく、選べるだけの環境を整えた上で、伴走しながら支えることではないでしょうか?
概ねそうした方向を目指していることは伝わってきました。あとはそれを、現場で本当にやり切れるかどうかが勝負です。
プログラムは、思った以上に本気仕様
毎日の授業内容イメージなどの詳細は、下に貼り付けた生徒募集要項をご確認ください。
個別学習による学び直しの時間
その日の目標を立てて取り組む時間
地域や社会との繋がりを生かした活動
一日の振り返りの時間
…などを組み合わせた構成になっているように受け止めています。
当然ですが、毎日少しずつ積み上げる設計になっているわけです。
学力差など、個々の能力等の開きはかなり大きい前提がすでに確認されているようでした。小学校段階からやり直しが必要な子もいれば、比較的高い学力を持っている子もいるため…一斉によ〜いドンと授業を行う形ではなく、習熟度に応じて柔軟に組み替えながらやっていくという計画のようでした。ちなみに、4月当初のスタート時点では、正式には14名が所属となる見込み(1年生6名、2年生3名、3年生5名)で、体験入級も含めると15名スタートになる予定との説明を受けています。各学年10名程度、全体で30名程度の定員を想定しているそうです。ただ、定員いっぱいになると少々手狭ではとの印象も受けました。ハッキリ言って、最初は15名でも色々と難しいだろうなと思います。
いやこれ、先生方がメチャクチャ大変じゃない?
そう感じたのは私だけではないと思いますが…そこを避けては通れないのも現実です。一人ひとりの狭域的ニーズにに合わせるって、そういうことですからね。
楽観視するという意味ではなく…やりながら最適解を探していくしかない
学年も違う。
理解度も違う。
その日のコンディションも違う。
来られる日も、来られない日もあるだろう。
同じ教室にいても、必要な支援は全員バラバラ。
非常に繊細な対応が求められる中…質疑の中でも出ていた教職員体制は非常に重要だと感じました。専属スタッフを常勤だけでなく非常勤も含めて手厚く配置し、小学校段階の学び直しにも対応できる人材も入れるという説明でしたが、ぜひここは言葉通り、いや言葉以上にきめ細かく対応いただきたいところです。
施設としては、かなり考えられていたように感じました。中学校内の使われていなかった一角を工夫して改装、改築し…ハード部分はトイレを除きほぼ完成していたように見受けられました。
専用の職員室と、教室が3室。クールダウン時など、静かに過ごしたい時のための相談室的な部屋。安心して過ごせる空間づくりに努めていることは十分伝わってきましたし、通常学級の生徒と目線が合いすぎないための工夫も凝らされていました。送迎の動線まで含め、かなり細かい配慮がなされていると思います。
ただ一方で、現地を見ると…”学校の中の、少し別の場所感”をどうしても感じたのも率直なところ。
完全に切り離してしまってもダメだけど、近すぎても刺激になる。オープンにし過ぎても不安だし、クローズにし過ぎても息苦しい…このバランスは超絶に難しいだろうからこそ…何が最適なのかは運用しながら探っていくしかないと思いますし…児童生徒の状態によっては臨機応変な見直しが求められてくるポイントだとも感じました。
多様化学級はあくまでも、新たな選択肢を一つ用意したということ
そもそも論として「学校に行きづらい子を、学校の中に集めるのか?」という問いかけも出ていました。学校に行きたくない、行きづらい子どもたちを、学校の中にある学級へ通わせることの持つ意味についての問いかけで、本質の一つだとも思います。子ども側から見たら「学校は学校じゃんか!」となる可能性は当然あるでしょう。
そこには矛盾と言うか漏れがないとは言いません。むしろ、そうした矛盾や漏れを孕んだ上でん挑戦と言えるかもしれません。それでもやる意味として、教育次長が”新たな選択肢を一つ増やしたということなのだ”という答えられたことは、一つの正解を押し付けるものではなく、また、潜在的にこれだけでは不十分であることを認めている答弁だとも感じましたので、高く評価しています。
学校復帰だけを唯一のゴールにしないことも確認させていただきました。
多様化学級に来ることも、在籍校の別室を選ぶことも、通常学級へ戻ることも、それぞれが認められるべき選択肢です。その中で本人に合った道を探れる場にできるかどうか、それに尽きると思っています。
給食ではなく弁当スタート。こういう配慮は大事
多様化学級の子どもたちの昼食については、当面は給食ではなくお弁当でスタートするとのことでした。理由は明快で、給食で「皆と同じものを、同じ時間に食べる」こと自体プレッシャーになる子もいるからです。保護者や生徒の声も踏まえた判断だそうで…これ、地味に思われるかもしれませんがメチャクチャ大事な視点だってことは力説しておきたいポイントです。
多くの大人は「給食くらい普通では?」と思いがちですが…その”普通”がしんどい子が少なからず存在するのです。
そこに気づけるかどうかで、場の優しさは超変わる。
こういうところには、現場感覚がちゃんと入っている印象でした。
在籍校との連携、進路も含めた接続も重要
学習記録はきちんと残し、在籍している元の学校と共有しながら成績評価に繋げ、高校進学の際の調査書等でも不利益が出ないようにすることや…ピッコラ配布されているタブレット端末も在籍校で使っている端末を持ち込むことなどが確認され、子どもたちだけでなく保護者にとっても重要な、「安心して通えるか」「先にちゃんと繋がるのか」という関心事についてもある程度の見通しが明示されたように思います。
結局は、これからが本番ってこと!
理念も配慮もあり、準備もされています。津山市として、この取組を真面目に、本気で立ち上げようとしていることは率直に評価したい。
でも、本番は4月に始まって、子どもたちが実際に通い始めてからです。思った以上に通える子もいるだろうし、臨んだように来られない子も出てくるかもしれません。合う子もいれば、合わない子もいるのは…ある意味では仕方がないことでもあります。スタッフ側も、想定以上の難しさに直面するかもしれない。
でもそれは当たり前の話です。
教育って本来そういうものなんじゃないですかね…まぁ教員でもない私が言っても説得力は皆無かもしれませんが…ただ、だからこそ、始めたこと自体をゴールにしてはいけないはずです。「作りました、やりました、以上!」で終わらせたらダメなんです。子どもたちにとって意味のある場、意義のある取り組みととして育つかどうかを、これから私たちは見続けていかねばならないのです。
最後に毎度お馴染みのまとめ
学びの多様化学級は、万能薬ではありません。
不登校・長期欠席の状態にある子どもたちへの学びの保障のための施策が…多様化学級さえ作れば全部解決なんて話なら、教育行政はもっと楽です。そんな甘い話ではないことは、そうした状況にある子どもたちの数と、14名にとどまっている所属生徒数からも明らかで、例えば私が口を酸っぱくして主張し続けているように、熊本市のフレンドリーオンラインのような、オンラインでの学びの確保という手段も、絶対に取り入れれいかねばならないことです。
でも少なくとも…今までこぼれ落ちがちだった子どもたちに対して、「別の道があるよ」「今からでも学び直せるよ」「あなたに合うやり方を一緒に探すよ」と言える場を、一つ新たに具体的につくろうとしていることには、極めて大きな意味があるはずです。
「今までなかった場をつくる」と、今日の説明の中で何度も言われていました。
その挑戦は、簡単ではなく課題も山積と言って良いでしょう…現場の皆さまと教育委員会の皆さまの挑戦を、精一杯応援していくつもりです。子どもたちのために、本当に機能する場として…大人側の制度の都合などではなく、子ども一人ひとりの現実に寄り添う場として、学びの多様化学級が運用されていくことを願いながら、4月以降も注視していきます。
思いが溢れ過ぎて、ついつい大作になってしまいましたな!
久しぶりにブログをまとめるのに2時間以上掛かってしまった。今日は最後の予定が22時半からのオンライン会議でしたので、とっくに日付が変わってしまいましたし…また病院に行って、膝の水を抜いていただくなど忙しい一日でしたが、充実していました。
本日はこんなところで。それでは、また明日!




