過去の清算でなく津山の未来への試算である決算審査、総務は不認定!圧倒的熱量で伝える委員会審査の現場。

未来拓く、みうらひらくです。
津山市議会議員、三浦ひらくです。

本日は、津山市議会で私が所属する常任委員会、総務文教委員会において…令和6年度決算議案の審査が行われました。決算審査では監査委員や会計管理者といった立場の皆さまが、それぞれの常任委員会に担当部局の皆さまと共に出席されるため、通常時と異なり、委員会開催日が4つの常任委員会ごとに分かれています。

議場をざわつかせた決算質疑!100分越えの大熱戦の持ち時間は1秒残し。執念のギリギリ芸で未来を拓く!

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先日の本会議での決算質疑に続き、津山市の「行政運営の基盤」と「教育の現場」の両方について、数字と中身の両面から確認・指摘を行った内容を軽く共有しておきます。決算審査というと難しく感じるかもしれませんが…要は「去年のお金の使い方、ちゃんと成果出てるの?」ということを確かめる場です。

総務文教委員会は、4つの常任委員会の中でも最も幅の広い分野…企画財政部、総務部、税務部、地域振興部、出納室、教育委員会、選挙管理委員会、公平委員会及び監査委員の所管に属する事項、他の常任委員会の所管に属さない事項について、津山市の現状と課題、そして次に進むべき方向を論じ合う委員会です。やがては会議録が公開されますが…長くなる予感しかしませんが…私自身の質疑を中心に、本日のやり取りについて、総務分と文教分をまとめて紹介します。

💼 総務分──“見えないお金”と“動かない仕組み”をどう変えるか

まず最初は、津山市の屋台骨を支える総務分野の決算審査でした。財政、広報、公有財産、防災、情報化、人事、公平委員会、基金運用など、行政の根幹に関わる項目について、質疑と答弁の応酬が繰り広げられました。

私の発言内容に限らず、「説明責任」や「情報公開」の在り方に大きな焦点が当たった印象です。

財務の透明性を問う──成果資料は欠落しているし、説明不足じゃない?

個人的にこの決算審査での最大の問題点は、決算書だけでは“成果”が見えないことだと感じています。施策ごとの成果指標や実績比較が示されず、「何のために、どんな結果が得られたのか」が掴めない状況であることは、地方自治法の第233条の第5項に反しているというのが、私の考えです。以下がその条文です。

普通地方公共団体の長は、第三項の規定により決算を議会の認定に付するに当たつては、当該決算に係る会計年度における主要な施策の成果を説明する書類その他政令で定める書類を併せて提出しなければならない。

津山市が成果を示す書類として出している事務報告書について、その有用性を否定するものではありませんが…記述の深度や様式がバラバラであり、とても成果を示す書類とは言えないことは、本会議でも質してきた通りです。そしてこれについては何年も前から言い続けてきていることです。もはや検討するという毎年の答弁も聞き飽きましたし、審査する以前の段階の問題だと強く感じています。

成果を説明できない支出が適正であるか否かなど、判断できるはずがありません。

議会側からの指摘は当然の流れであり、市民に対しても理解しやすい決算書類への改善を求めることは必然であるはずです。私が議会に入らせていただくまで、津山市では決算書も予算書もネット公開すらなされていなかったわけですが…自治体運営の極めて重要な資料であるはずのその種の書類さえも、このインターネット時代に対応する形で公開されていなかったような津山市が、スマートシティなどと謳い、本気でそうしたまちを目指すのであれば、この種の情報公開は最低限の姿勢として示していかねばならないところだと確信しています。

公平委員会:実際の仕事がゼロでも報酬は定額で良いの?

公平委員会は、職員の懲戒や人事に関する不服申し立てを審査する大切な機関です。津山市では、ここ数年案件ゼロの状態が続いています…ま、本当にゼロなら良いことですよね。ただ、委員の皆さまには月額報酬が支払われているという実態があります。委員会の存在意義そのものを否定するものではありませんが、「実績のない年度も固定支給で良いのか?」という疑問は残ります。他の自治体の現状を調査してみても、日額報酬制や“実働ベースの報酬形態にしているまちがある中で、今後の見直しが必要だと訴えました。また具体的改善案の一つとして、岡山県への事務委託についても言及しました。現に周辺自治体や津山広域事務組合などでは委託している事実を踏まえ、そうしたアプローチも検討すべきだと提言しました。

基金運用の中身を精査──「最も確実かつ有利」って、具体的に何なの?

議場では時間の都合もあって、色々と尋ねたいこともあったのですが質疑を途中で切り上げた項目が幾つかありました。関係部局の皆さまと相談した上で、本日の委員会審査以外の場で改めてお尋ねすることにした内容もありますが、基金運用については会議録に残る形で質しておくべきだと考え、質疑を行いました。

令和6年度、津山市の基金運用益は総額で9,135,575円とのことでした。

内訳は定期預金利息が3,364,575円、債券運用益が5,771,000円とのこと。これは他の自治体と比較し、財政規模を考えてみたときに決して多いとは言えないと感じています。堅実そうに見えるかもしれませんが、最大の問題は運用方針の非公開性です。本日、細かい金額までは確認していませんので、これとは別に個別運用しているものが20万円ほどあるとも伺っていることなども含めて改めてご説明いただくつもりですが、本市では基金の運用額全体の中で預金に比べ債券運用に回されている金額のほうがはるかに少ないことは間違いありません。また金利は上昇しているにもかかわらず、運用益は預金よりも債券運用の方が圧倒的に多いわけで、私としては当然にリスクマネジメントは考えた上で、基金のお金はできる限り積極的に債券運用に回すべきではないかと言いたいわけです。

それぞれの基金の根拠となる条例には「金融機関への預金その他最も確実かつ有利な方法により管理しなければならない。」書かれているわけですから。

実際にどんな運用がなされているのか、現金管理の実情、リスク管理体制はどうなっているのか。

そういったポイントが決算資料上からは見えてこず、審査のしようがないと指摘させていただきました。現在の状況で法の上では問題ないということですが、市民が信頼できる財政運営を実現するためには、すべての基金の運用状況をわかりやすく示す姿勢が必要ではないかというのが個人的な思いです。ただ、このやり取りの直後に委員会は休憩を挟みまして…その間にこれに関しては毎月の現金出納検査を経て、議会事務局に保管していただいている監査結果を確認していなかったことは私自身の瑕疵ではないかとの指摘をいただきました。

過ちては則ち改むるに憚ること勿れ。

ハッキリ言ってそれはどう考えてもその通りでぐうの音も出ない正論でした…要は、決算資料には含まれていないものの、全く公開されていないわけではないのが”事実”だったわけです。自分自身の調査不足を棚に上げて審査のしようがないとまで言い切ったのは明らかに行き過ぎだと感じましたので、再開後直ちに謝罪させていただきました。ただその上でも、丁寧な情報開示、可視化についての改善は引き続き求める旨を改めてお願いさせていただいたところです。やっちまったなという感はありましたから反省はしていますし、今後は必ず目を通すよう改めますが…主張の趣旨自体は正しかったとも思っています。

採決結果:総務分については「不認定」という結果に。

私はこれでは決算議案は認定できないと言わせていただきました。

決算審査の前提となる資料不備についての言及内容を副市長は気にされたようで、改めて説明するような時間もありました。その点にスポットが当たったことで、成果資料が充足していないという理由で認定しないと判断したのだと伝わりかねない会議録になるかもなと思うので、この時点でここでハッキリ書いておきますが、決算を認定しないとした理由はもちろん、それだけではないのです。実際はそれも当然ありますけどね…数字の整合性以前に、「何が成果だったのか」が見えないことは、決算の趣旨に照らしても大き過ぎる問題だと感じますので。

12月議会の開会日には討論を行い、私自身の考え方についての説明をしっかりとさせていただいた上で態度表明します。

結果として、私以外にもお二人が認定しないという判断を表明され、総務分については賛成少数で不認定となったのです。さて…本会議ではどういう展開になるでしょうか…?

📚 文教分──子どもたちの未来を守る“教育投資”の真価を問う

続いては文教、つまり教育委員会の所管分野です。

6年度、教育費全体の予算額は6,123,860,000円でした。

いち、じゅう、ひゃく、せん、まんと数えていかないと…慣れていない人にはパッと見では数えにくいと思いますが、61億2千3百86万円ということです。支出53億3千6万9千77円、翌年度への繰越が5億8千9百19万6千円、不用額が2億4百59万4千923円と、数字だけ見ると大変に大きなの事業規模ですが…それでも私は、端的に言えば、教育にはもっとお金を費やしていただきたいと毎年のように言い続けてきています。

内訳は、小中学校施設整備、GIGAスクール推進、給食センター運営、特別支援教育、青少年育成事業など…数字だけ見れば多岐にわたる分野での取り組みが堅実に進んでいると感じますが、現場で何が起こっていたのかがポイントだと思います。

教育現場の維持管理と老朽化対応は?

小中学校では、外壁補修・空調設置・運動場改修などの長寿命化工事が進行しています。一部の小中学校での空調整備など、現場改善は進んだものの、老朽校舎の改善問題は、再編問題に形を変えていきつつ依然として、課題として残っていることが浮き彫りになる時間でもありました。設備面の更新は進んでいる一方で、事業繰越が多く、年度内に完了しなかった案件の説明不足が少なくなかった印象も覚えています。事実、他の委員からもほぼ同じような趣旨でのツッコミが入っていました。

家庭教育事業──「支援のつもりが押しつけに?」の声。

「家庭教育支援事業」は、子育てワークショップなどを通じて家庭力の向上を目指すものだと説明いただきました。事業自体の意義を評価していないわけではありませんが、一部で「特定の価値観の押しつけ」と受け止められたケースもあった事実をお伝えしました。「取り残さない」という理念を共有しつつ、“支援”が“指導”に変わってしまわないような、より丁寧な設計を要望したものです。

 医療的ケア児の「行事参加費」問題。

これは河村委員から本会議でも指摘があった点で、私自身も医療的ケアを要する児童に対するサポートに携わってきた経験から、とても大事なことだなと思って伺った内容なので触れさせていただきますが…校外学習に参加する際、保護者の交通費が自己負担となっているケースは、障害者差別解消法の理念に反する不均衡と言える可能性が高いとは考えられます。財政上も難しい面があることは多々承知の上で書いておきますが、法を真っ直ぐに解釈すれば現状は間接的な差別に当たりかねないものであり、健常児と同様に教育機会を保障するためには、医療的ケア児と保護者支援の公費化を進める必要があるという指摘は間違っていないと感じています。

義務教育学校設置へ…加茂地域の皆さまからの要望。

報告事項として、加茂地区で小中一貫の義務教育学校化を求める4,763名の署名付き要望書が提出されたことを受けての説明がありました。市教委では「今後、検討に入る」という一応の前向きな姿勢を示されたわけですが、私は、単に“前向きに検討”ではなく、「具体的なタイムラインと地域説明のロードマップ」を示すべきだと言わせていただいています。地域の熱意が本気だからこそ、行政の対応も“本気”でなければ信頼は得られませんし…何しろ、もう2年も前から市教委では義務教育学校設置に向けての本格的な調査を始めていると聞いていますので、現時点で具体的なことは言えないまでも…ある程度のスピード感は示していただきたいところです。

鶴山中学校の「学びの多様化学級」=トライアングル誕生!

アイキャッチ画像にも取り上げましたが…「学びの多様化学級」として、鶴山中学校に新設されるトライアングルについての報告もありました。国の認可は得られませんでしたが、多様な学びを支援するこの新しい学級には大きな期待が寄せられています。

ただ名称決定のプロセスでは、「他校の生徒・保護者の意見を聞いたのか?」という点に疑問が残り、私からは市内全体で共有できる仕組みづくりを提案しています。

多様性を「特別」ではなく「当たり前」に。

その理念を本格的に実践する第一歩が、この“トライアングル”となるように、これからに期待しています。

教育関係の審査の結論:文教分は「認定」されました。

結果として、文教分の決算議案審査は賛成多数で認定されました。私自身も賛成したわけですが、一方で、「繰越・不用額の整理」「成果指標の設定」「医療的ケア児対応」など、今後の宿題となる課題は少なくなかったと感じています。

🧭 総括──決算は“過去の清算”ではなく、“未来への試算”

今回の審査を通じて改めて感じたのは、津山市の課題は「お金の使い方」以前に「説明の仕方」だということです。どんなに立派な事業でも、数字と成果をつなぐ“ストーリー”が示されなければ、市民には届きません。そもそも、どんな事業を誰のために、何のためにやっているのか、そのためにいくら費やされて、いかなる成果があったのかを伝えられないようでは、話にならないと言って良いでしょう。

「行政の執行責任」と「議会の議決責任」は、対立ではなく車の両輪です。

その執行責任は説明責任と言い換えても良いでしょうし、議決責任は監視責任と言い換えても良いでしょう。私たちは…少なくとも私は、否定ではなく改善を求めているのです。数字の裏にある「人の営み」と「未来への投資」を見える化していくことこそ、決算審査における議会の仕事だと信じています。

決算審査は”締めくくり”ではなく”始まり”です。

市民の皆さまと共に、津山市の未来をもっと良くしていくための材料が、決算で示される膨大な数字の中に詰まっているのです。本日はちょっと記憶にないレベルの長いブログ記事になってしまいました。本会議での超絶長い質疑をチェックしてくださった皆さまから言っていただけていることでもありますが…どれだけ本気で決算に向き合っているのかが伝われば幸甚です。“議会のリアル”を、今後も丁寧に発信していきます。

委員会審査の最中、そして終わってから…何人もの職員の皆さまや同僚議員の皆さまからも、多くのご意見やご助言、そして温かい労いや評価の言葉を頂戴したことに感謝です。その全てを無駄にせず、精進していきます!

本日はこんなところで。それでは、また明日!

三浦 ひらく

三浦 ひらく -PROFILE-

世界を暮らしやすく楽しく変えるため、相棒ひらくマと一歩ずつでも現状改善していくために日夜ハゲむ、1978年生まれの岡山県津山市議会議員。選択肢の多い社会を目指し、政治も手段の一つと捉え、地域振興、多様性理解促進、生きづらさ解消、表現の自由を守るための活動、インフルエンザ脳症撲滅、臓器移植意思表示推奨などをライフワークとして活動している。