あるものいかしが大事!島根県立美術館のコレクション展を満喫。岡山&鳥取との比較で考える地域芸術振興。

未来拓く、みうらひらくです。
津山市議会議員、三浦ひらくです。

宍道湖を望む美の舞台、島根県立美術館に行ってきました!

水との調和をテーマにしているとのことで、本当に素晴らしいロケーションです。

こちらの画像は公式サイトより拝借して切り取ったもの。

夕日がメチャクチャ良い感じに見られるってのも、売りの一つ。

3月〜9月は日没後も美術館を30分楽しめるってのが、素晴らしい配慮(展示室への入場は日没時刻まで)ですね。

鳥取県立美術館ナイトミュージアムへ!現代社会は百鬼夜行?水木しげると妖怪達が教えてくれた人間らしさ。

2025-08-09

先日もブログ記事としても紹介した通り、鳥取県立美術館に足を運んできたばかりです。地元なのに岡山県立美術館の方がむしろご無沙汰になっているような状況です。近いと行かないのよねって話はあるあるネタですよね。今回はちょっと思い立って、思い切って足を伸ばしてきた感じ。往復の時間だけでも、高速道路を使っても4時間では難しいくらいの距離ですから、なかなか行けるものでもない(でもまた行きたい!)のでね…。

勢いが大切なこともありますからな!

松江市は総務文教委員会の視察で訪れ、先日も島根原発視察で訪れ…結構行っているイメージですが、実は県立美術館を訪れるのは初めてのことでした。大昔にプライベートで行こうとしたけど閉館日で涙を飲んだことがありましたので、待望の初訪問です。

今回は企画展の観覧は時間の都合もあって諦めたのですが…コレクション展(常設展)だけでも十二分に満足できるほどの展示の充実ぶりには大変に驚きました。だからこそ、再訪したいと強く感じていますし…皆さまにも紹介したいなと思った次第。

収蔵点数の規模感がヤバい。

2025年3月末時点で、全部で7,705点にも及ぶ所蔵作品があるのだそうです。

地域美術館として、岡山や鳥取と比較してみてどうかなと思いましたので直接確認させていただきましたが…残念ながら、岡山県立美術館では所蔵点数や分類などの細かいところは公開はもちろん、把握もできていないと聞いています。他の2館に比べて歴史がある(1998年3月開館。島根は1999年3月開館だが大規模改修を経て2022年6月に再開館、鳥取は2025年3月開館。)ことが結果として悪い方向に働いていないのか心配になるような話だなというのが率直なところ。岡山にゆかりのある画家・芸術家の作品を中心とした郷土性重視のコレクション方針が際立ちますが…ニーズをしっかりと反映できているのか、施設の維持管理を考えてみても、今のままのやり方でいいのかどうかは、議論の余地があるかもしれませんなというのが私の思いです。

議論する場は県議会でしょうけど。

ちなみに鳥取県立美術館では、基となった鳥取県立博物館の美術分野のコレクションだけでも11,348点にのぼる(平成30年4月1日時点、PDFデータ)と記録されており、現在の指針もハッキリと打ち出されています。より多くの方々に多様で優れた美術作品に触れていただく機会を提供するため、鳥取県にゆかりのある作品のみならず、広く国内外の優れた美術作品や、同時代の美術についても収集し、コレクションのさらなる充実を図っていくという姿勢は、極めて共感性の高い、時代の要請にもマッチしたメッセージだと個人的には感じるところです。キュレーターの方がまとめられた記事の中で、開館記念展の展示作品を館蔵作品は約2割、残りの8割は国内の美術館や所蔵家、作家からの借用品で賄ったと書かれていたことも興味深かったです。

話が逸れましたが…島根県立美術館にも、とても多彩なコレクションがあるわけです。ただその中で特筆すべきはやはり…浮世絵コレクションの豊富さでしょう。葛飾北斎の作品だけで約1,600点という目もくらむような収蔵数には驚嘆せざるを得ません。そして既に上の方に写真を貼り付けていますが…その北斎の所属作品群の中から常時数十点を展示する「北斎展示室(展示室2)」があり、基本的には月ベースで展示作品を入れ替えているようでした。何度訪れても新鮮な驚きがあるような、リピーター獲得への工夫が凝らされていると感じました。

また、写真撮影不可であるため、その内容を写真ベースでは一切紹介できませんが…展示室4の写真コレクションも非常に興味深い展示を楽しむことができました。現代写真史の重厚さを感じることができる印象でしたし、もしかしたらスマホやご自身のカメラでの写真撮影時の参考になるような体験もできるかもしれません。

もちろん、展示室1も展示室3もそれぞれ素敵な内容でしたし…企画展に入りきらなかったのか、コレクション展だけの観覧者への特別サービスなのか、第5展示室では今まさに企画展で特集されていた近代日本画の巨匠、川端龍子の作品を堪能することができました。

北斎に関しては以前、津山市でも興味深い展示を拝見したことがあったので、より関心を持って観覧することができました。北斎漫画なども、時間を掛けてゆっくりと文字までもっと見たかったのが正直なところです。

上でも少し比較しましたが…岡山、鳥取、島根と三つの県立美術館を巡ってみると、それぞれの特色が見えてくるなと感じました。そして作品を鑑賞しているそばから地域性や戦略に根ざした「地域美術館の在り方」が相対的に浮かび上がってくるように感じるのは、もはや自分自身がアーティストである以前に議員になってしまっている証かもななどと…意味のない考えが、少し淋しいような感覚とともに頭を過りました。

島根県立美術館を訪れてみて感じたのは、美術館自体が宍道湖と一体化しているような心地よさです。窓越しに湖や草木、近代的なビル群などの人工物を含めたと風景と向き合いながら、数々の作品が静かに佇む空間は、まさにアートと自然の“対話”そのものであるようにも思われました。

日本画をメインにした絵画、浮世絵、工芸品、写真、浮世絵…と、展示室を巡るたびに視点が切り替わる、わかりやすくも見飽きない構成や、北斎展示室に代表される何度来ても新たな発見がある仕組みは、“リピート戦略”としても秀逸であり…私たちの心を上手にくすぐるやり方だなと感嘆したところです。

そのヒントはもしかしたら…それこそ、北斎から得たのかも!

岡山、鳥取、島根、それぞれに独自の方向性がある地域美術館ですが、共通するのは「地域を豊かにする存在であること」でしょう。その観点から言えば島根県立美術館は松江城にも近く、宍道湖という観光客向けの目玉の一つと併せて…地元向けだけでなく、外から来た人たちをも見事に巻き込める“地域文化振興”の拠点として、しっかりと機能している印象を持ちました。美術館等での企画展の構成の工夫は非常に重要ですが、日常的な“常設コンテンツの圧倒的存在感”こそが、文化継承には欠かせないと思うのです。

津山市にも多くの文化資源があり、美術館を待望する声も根強いです。

ないものねだりにどう対応するか?

厳しい財政状況などに鑑みても…「ゼロから巨大施設をつくること」は現実的ではなく、今ある資源を磨き上げ、活用していくことが津山市のとるべき有効な道だと考えています。

文化芸術には観光資源としての価値だけではなく、市民の誇りや学びの場をつくるだけのチカラがあるものです。島根県立美術館の内外を歩いていても、地元の方々が普通に散歩のように立ち寄り、子どもたちが目を輝かせている姿がとても印象的でした。

津山でも、「日常の中に文化芸術がある」ような風景を実現できたら…と強く思います。

現実に引き寄せて考えると、「ないものねだり」ではなく「あるものいかし」の姿勢が大切だと痛感します。全く知らなかったのですが…館外に並んでいるウサギの中で、この子を撫でたら願いが叶うとか言われている像があり…その子だけメチャクチャ良い感じに光っていました。他の子と比較したら一目瞭然で…もう、圧倒的に触られて来ているのだなということがパッと見でわかる感じです。

しじみの殻など供えてはいませんし、西を向いたりもしていませんが…つい撫でてしまったことは一応、内緒にしておきますね。誰が言い出したのかわからない眉唾と思えるような話でも、まぁせっかくなら…ってなってしまうのもまた、人間ですよね。ミスターエビデンスなどと揶揄されるような私ですが、いつでも何でもエビデンス出せと言うほど野暮ではないつもりです。

本日はこんなところで。また明日!

三浦 ひらく

三浦 ひらく -PROFILE-

世界を暮らしやすく楽しく変えるため、相棒ひらくマと一歩ずつでも現状改善していくために日夜ハゲむ、1978年生まれの岡山県津山市議会議員。選択肢の多い社会を目指し、政治も手段の一つと捉え、地域振興、多様性理解促進、生きづらさ解消、表現の自由を守るための活動、インフルエンザ脳症撲滅、臓器移植意思表示推奨などをライフワークとして活動している。