未来拓く、みうらひらくです。
津山市議会議員、三浦ひらくです。
本日は、中国電力の島根原子力発電所を訪問視察する機会をいただきました。
当ブログでも何度か関連エントリーを書いてきていますが…今回も真庭市と津山市の議員を中心に、有志メンバーが段取ってくださった会に混ぜていただいたという感じです。専門職員の方々から丁寧かつ詳細な説明を受ける場にも同席させていただき、原子力発電所の安全対策、設備構造、そして災害対応などの多岐にわたる項目について、かなり濃密な知見を得ることができました。
”原発は危ないもの”という一面的な印象を持っている方にこそ、知っていただきたいと思うような“リアル”があったと感じています。今までにも個人的にも学んできたように、そして歴史が物語ってきているように…取り扱い方を誤ったり、備えがしっかりとしていない場合には大きな事故が起こり得るのは事実だと私自身も確かに思っていますが…電力の恩恵を受けつつも、リスクだけを掲げて建設的な話をしない姿勢を打ち出すことは、私の信条には反することです。
原子力発電所のしくみと、安全を守るための三本柱
原子力発電所では、ウラン燃料を核分裂させて出た熱で水を沸騰させ、その蒸気でタービンを回し、電気を生み出すという行程で発電しています。ごく単純化して言えば“原子の力を使った蒸気エンジン”のようなものであると言えるでしょう。沸騰水型原子炉と呼ばれる形式です。
原子力における安全対策の基本は以下の三本柱です。
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止める:緊急時には制御棒を挿入し、連鎖反応を強制停止。
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冷やす:残留熱を冷却水で循環させて下げ続ける。
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閉じ込める:放射性物質を原子炉格納容器等の多重構造で封じ込める。
これらを多重・重層的に設計していることが、原子力発電の根幹だということを丁寧に説明いただきました。
福島第一原発事故を教訓に、強化された対策群
2011年の東日本大震災の際に発生した、福島第一原発での事故は、日本のエネルギー政策に決定的な影響を与えました。感情論ベースではなく、津波により冷却機能が喪失し、水素爆発が起きたことから得た教訓を、現場ではしっかりと踏まえており、新しい規制基準のもとで設計施工され、非常に厳格な対策が取られていることなどを確認させていただくなどしました。
その詳細は公式サイトでも詳しく紹介されています。動画をご覧いただくのが手っ取り早いかなと思います。
津波を想定した海抜15mの防波堤設置や、至る所に配置されている車両型の放水装置、火山灰・森林火災なども想定した建屋設計、水素ガス対策として酸素と結合させて安全に処理する仕組みの導入などと共に、万一、重大事故が発生しても、事故収束に向けた迅速な対応を行い、放射性物質の放出による周辺環境への影響をできるだけ抑えるための対策まで具体的に設計されていました。
ソフト面での安全確保と、現場の連携体制
ハードだけではなく、人の力=ソフト面での備えも非常に印象的でした。
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発電所と広島本社、さらに東京の原子力規制委員会との即時連携体制
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緊急時には本社に“対策本部”が設置され、情報共有と指示が行き届く体制を構築
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日常的に行われる訓練やシミュレーションによって、緊張感を保ち続けている
また、発電した電力の一部を施設の運用電源として自家供給できる設計になっており、「停電しても停電しない」という状態が目指されていることなどについても説明を受けました。
発電所の見学で得た「リアル」
見学においては構造物や排水設備、貯水槽、非常用設備などを目の当たりにしました。冷却水の循環、排水の処理、電力供給のルート等々…現場で働く人たちが安全を守るためにいかに本気で取り組んでおられるかを見せていただいた気がします。
安全を実現する努力の積み重ねこそがリアルであること。
それを、現場の空気と共に感じられたことは貴重な経験になりました。
エネルギー政策を語る前に、知っておくべき現実
原子力に限らず、エネルギー政策を議論する際には、感情やイメージだけでなく、技術や現場の現実をしっかり理解することが欠かせないと改めて思わされたなというのが、率直な感想です。やはり何事も…反対するにしても、賛成するにしても…まずは「知ること」から始めるべきだなと、私は思うのです。
わからないものがあれば、理解しにいけば良いってこと!
何に対しても、この姿勢を持ち続けていきたいものです。
本日はこんなところで。それでは、また明日!