誤解も多い生活保護申請は国民の権利。どんな困りごとも、頼れる人がいないときこそ地方議員に連絡すべし!

未来拓く、みうらひらくです。
津山市議会議員、三浦ひらくです。

今日の津山市議会では会派代表者会議が開かれました。会議内容そのものは5月臨時会での改選に伴う議席の変更などがメインテーマで、私自身の発言など幾つか”その他”の項目での話もあったものの、粛々と終わった印象です。10時半からの開催でしたが、珍しくそれまでの時間帯にアポが一件も入っておらず、ゆっくりとコーヒーを飲んでから会議に臨むことができたことでリフレッシュできました。いつも4時くらいに起きてているけど、こんなに余裕があることはあまりないので…こんな朝もたまには良いですね!

当ブログの更新作業なども含め、その後も議会棟の議員控室で事務仕事を中心に日々の業務に向き合わせていただき、珍しく夕方まで基本的にずっと市役所議会棟にいた一日になりました。約束して行ったわけではないけれど、会派の仲間2人をはじめ、直接会えた何人かの皆さまと期せずして深い話ができたことは良かったと思っています。

昨日一昨日の記事でも最後に触れていますように、このところオンラインでの勉強会的な企画への参加が続いています。津山市のためにこそ、津山市以外の仲間たちから刺激をもらえるこうした機会は自分にとって非常に大切だと考えており、本日も18時から、当ブログでも度々紹介させていただいており、現在は役員を務めさせていただいているローカル・マニフェスト推進連盟(通称LM)の定例勉強会が開催されました。アイキャッチ画像は最後の記念撮影時のものです。

今回は「議員のための生活保護の基礎知識と生活相談の実践編」と題された会でした。LM会員でもあり、マニフェスト大賞でもご一緒させていただいていて複数回の受賞歴もある足立区議会議員の小椋修平さんを講師に迎え、生活保護制度についての理解を深め、議員が現場でどのように相談対応に関わっていくべきかを学ぶ貴重な機会となりました。

小椋さんはこの分野のスペシャリスト、第一人者です。

議員にならせていただく前から、社会的に弱い立場だとされる方々、マイノリティー支援に取り組み続けてきている私にとっては、学ぶことが極めて多い先輩議員の一人であり、実直に個人からの相談に向き合い続けてこられたリスペクトする議員の一人です。

実際のところ、私自身のところに生活保護に関して届く相談案件は、あまり多くありません。ただ…存じてくださっている読者の方も少なくないと思いますが…いじめ、引きこもり、児童虐待、DV、性的マイノリティーなどの関係案件や、シングルの親御さんからの様々な面での生活困窮に関する相談などはそれぞれ少なくないわけです。取り扱いに慎重さと個別最適化した対応が求められ、なおかつ緊急度に応じて関係機関への適切な接続や、場合によっては通報措置なども考えてはいかないとならないケースへの、経験と知識に裏打ちされたお話は、伺っていて激しく頷いてしまう場面が何度もある、学びの多いものでした。

家族などに頼れる環境にないからこそ!

だからこそ自分自身を頼ってこられているのだという覚悟と責任感、圧倒的に真摯な姿勢が感じ取れました。そもそも、親きょうだいなどと良好な関係にある方は、実家に戻っていたり、物資や現金などの仕送りを受けているなど、すでに何らかの援助を受けているはずです。どうにもならないからこそ生活保護の申請という選択肢を考えざるを得ない状況だということです。

勉強会では、制度の基礎的な理解から、実際の申請現場における課題、さらに議員として果たすべき役割に至るまで、具体的な知見と実践的な視点を数多く共有いただきました。生活保護制度は日本国憲法第25条…いわゆる生存権の理念に基づき、すべての国民に「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するために設けられた公的扶助制度であり、生活に困窮する人々を支援し、自立を促すことを目的としています。

しかしながら、制度には多くの誤解が存在しています。

たとえば、「不正受給が多い」「働けるのに受給している」「外国人は対象外である」などの偏見が未だに根強く残っています。これらはいずれも事実と異なります。言うまでもなく不正受給はあってはならないことですが、同じように本来当然に受給すべき方々が偏見の目に晒されることもあってはならないはずです。不正受給率は極めて低く、対象者の多くは高齢者、障がい者、ひとり親、病気療養中の方など、そもそも就労が困難な人々であることを、まず知っていただきたいと願います。

制度の基本原則は次のとおり。

無差別平等の原則:国籍や属性を問わず、困窮状態にある人は等しく対象となります。
補足性の原則:まず自分の資産や能力、扶養関係などを活用し、それでも生活できない場合に初めて支給されます。
世帯単位の原則:生活の実態に基づき、「世帯」を単位として審査されます。
必要即応の原則:困窮の度合いや背景事情に応じて、柔軟な支援が求められます。

生活保護申請は、国民の権利なのです。

生活保護の申請は、原則として本人が居住地の福祉事務所に出向いて行います。書類提出後には家庭訪問などの調査があり、原則14日以内に可否が判断されるわけですが…しかし、現実にはいわゆる「水際作戦」と呼ばれる制度運用上の問題が存在します。窓口職員が制度利用を思いとどまらせるような対応をとることで、申請に至らせないようにする行為を指します。「働けるのではないか」「まず家族に頼るべきだ」「アパートがないと申請できない」など、本来制度上は不要な要件を持ち出して申請を拒む事例が後を絶ちません。

そして残念ながらこうした対応は、生活保護に限らず見聞きすることでもあります。

制度を知らないがゆえに申請をあきらめ、野宿や孤立状態に陥り、最悪の場合は命を落とす…そんなことがあって良いはずがありません。

また生活保護の申請に至る背景には、単なる貧困状態だけでなく、DV、虐待、精神疾患、行政への不信感、家族からの絶縁など、多層的な困難が絡み合っていることも少なくないのです。表面的な言動だけで「怠けている」と判断するのは非常に危険で乱暴だと言えるでしょう。本人の語る言葉の背景に耳を傾ける姿勢が求められます。

また緊急性の高いケースも少なくなく、制度の枠を超えた柔軟な対応が命を守る支援に繋がります。

現場では、「制度の説明」だけではなく、相手が安心できるような「信頼関係の構築」が第一歩となります。支援の出発点は“傾聴”であるという点が強調されました。

議員には制度の仕組みを知っておくことが求められて、制度が適切に運用されているかを監視する役割もあります。また、住民からの相談に対して「そんなことは福祉の仕事だから」と切り捨てるのではなく、「まずは聞く」「必要に応じて同行する」「他の支援機関と繋ぐ」といった対応が期待されると再認識しました。加えて、「生活保護=恥」といった偏見を社会から取り除いていくためにも、生活保護は「自分のためだけでなく、誰かの命をつなぐ制度」であることを、議員が率先して発信していく必要があるとも感じたからこその、今日のエントリーです。

議員=住民が制度に対して問題意識を持ち、必要に応じて改善を求めることが、福祉行政全体の質の向上に繋がります。

また、「制度を知っている市民」を増やすことも重要です。議員が生活保護の仕組みや現場の実態をわかりやすく市民の皆さまに伝えていくことで、「困ったときに声をあげられる社会」が育ちます。

生活保護制度をめぐる課題は、単に行政の問題だけではなく、私たち社会全体のあり方を問うものだと感じました。

議員として制度の知識を持ち、住民の声に真摯に向き合い、制度の「使い手」を支える存在となること。それもまた大切な地方議会議員の役割の一つであり、政治の力の本質だと言えるのではないでしょうか。

本勉強会は生活保護というテーマ、そして小椋さんの取り組み実績の詳細を通じて、議員に求められる「寄り添う姿勢」「変革する力」を改めて考える機会となりました。一方聞いて沙汰するなスタンスも含め、小椋さんは改めて素晴らしい仕事をされていると感じました。

具体的な解決に繋がらなくても、話を聞くことで、ご本人はすっきりすることもあるから、自分一人で抱え込まないように、話すことで頭の中を整理していただけるように向き合っていること…非常に難しいことだが、何でも全てこちらがやるのではなく、何をどこまでするのかを見極めながら、個々それぞれの伴走型支援を心がけていることなど、激しく同意せざるを得ない話を沢山聞かせていただき、有難うございました!

人と人との繋がりは非常に重要なものです。ただし特に地方部では顔が見える繋がりがあるからこそ、個人的な相談は難しい側面もあります。小椋さんも足立区外からの方々の相談も相当数受けておられるとのことでした。私にも日本中から相談事が届きますし、今日も対応しました。そこで失礼も承知で、こんな問いかけをさせていただきました。

区内の方と区外の方からの相談の対応の優先順位づけは、どのような判断基準のもとで行なっておられますか?

それに対する回答はケースの緊急度をもとに判断しているというものでした。

地方議会議員としての活動…私の活動に関して言えば、津山の相談を優先すべきという気持ちを抱かれる方もおられるかと思いますし、実際にそうしたご指摘を頂戴することも正直多いです。

議員をさせていただいていること自体、手段の一環です。

言うまでもなく、津山市の皆さまからの声を無視したり、対応しないつもりはありません。ただ、津山のためを思えばこそ、津山市外の皆さまの声も同様に、無視するわけにも、対応しないわけにもいかないのです。

いつでも何でもどなたでも、遠慮なくご連絡ください!

電話(090-3630-5758)でも、匿名でも大丈夫です!

長くなりましたので…本日はこんなところで。また明日!

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三浦 ひらく

三浦 ひらく -PROFILE-

世界を暮らしやすく楽しく変えるため、相棒ひらくマと一歩ずつでも現状改善していくために日夜ハゲむ、1978年生まれの岡山県津山市議会議員。選択肢の多い社会を目指し、政治も手段の一つと捉え、地域振興、多様性理解促進、生きづらさ解消、表現の自由を守るための活動、インフルエンザ脳症撲滅、臓器移植意思表示推奨などをライフワークとして活動している。

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