臓器移植は“縁起でもない話”でなく“明日の家族の話”かもしれない。誰かが救われる確信があるから話す。

未来拓く、みうらひらくです。
津山市議会議員、三浦ひらくです。

今夜は大阪に来ています。

津山市内ではこの週末も徳守神社の大祭をはじめ、各地の秋祭りや様々な地域行事でにぎわっているタイミングですが…私は、9月議会が終わった後のこの時期はここ数年、ほとんど毎年のように津山市を離れていることが多いです。もちろんそれには理由があります。

10月は厚生労働省が定める「臓器移植普及推進月間」

臓器移植というテーマを、一人でも多くの人に“自分ごと”として考えてもらうための活動が全国で行われる時期であり、これは、私自身のライフワークでもあります。ご存じの方も、初めて知ってくださる方もおられると思いますが…私の娘、愛來(あいく/愛称くーちゃん)は、インフルエンザ脳症という病によって5歳のときに亡くなっています。そして、その際に私たち家族は、臓器提供という決断をしたのです。

臓器移植の現場に一石を投じる独白。44歳の誕生日に亡き娘の偉業を発表。

2022-05-18

くーちゃんのいのちの一部を、別の誰かに繋ぐという選択でした。

そのことを話すのは…いまだに正直言ってつらいこともあります。だけど同時に、だからこそ話さなければいけないとも思っています。「臓器提供」「臓器移植」「ドナー(臓器提供者)」「レシピエント(臓器を受けた側の方)」といった言葉は、普段の生活の中ではあまり意識しないかもしれません。でも現実には、特別な誰かだけの話ではないのです。ある日突然、「あなたの家族の話」になるかもしれない。

縁起でもない話、で片付けて良い話ではないことをイヤと言うほど実感として知っているからこそ…伝え続けているのです。

どれだけ医療やテクノロジーが進歩しても、助けられない命をゼロにすることはできません。移植医療は、懸命の救命措置によってもどうしても救えなかった誰かの命を繋いでいくことができる医療なのです。

明日は「臓器移植推進国民大会」に登壇します!

以前も書きましたが、大阪市中央公会堂で開催される第26回臓器移植推進国民大会で、今回なんと私は、映画作家の河瀨直美監督とご一緒させていただくのです。河瀨監督は映画界でリアリティある表現を追求し続け、国内外で高い評価を受けてこられている方で、大阪・関西万博でもシグネチャーパビリオン「いのちのあかし」をプロデュースされるなど活躍されていますので、ご存知の方も多いはずですね。さらには来年公開の臓器移植をテーマにされた映画制作のご経験を踏まえたお話をいただけるとのことで、多分私が一番楽しみにしています。

そこに毎回物議を醸す話しかしない(?)イロモノ議員が加わるなんて…今までにないトークセッションになることは確実と思われます。大阪府の皆さまの挑戦的なプログラム構成に感謝です!

この大会は厚生労働省、大阪府、日本臓器移植ネットワーク、日本腎臓財団といった皆さまによる主催で行われる全国的なイベントであり、”臓器移植医療をもっとあたりまえに”というメッセージが掲げられています。これは私自身の思いと合致する部分も非常に大きいです。

率直に言って、めちゃくちゃ光栄な話。

楽しみ過ぎて今夜は眠れないかもしれないです…場違いじゃないかと心が震えておりますが、くーちゃんの父としてだけでなく、津山市議会議員として紹介されていますので、しっかりと務めてきます。是非チェックしてみてください。

皆さまにご視聴いただけるのは、いわゆる“本会場ステージ側”におけるプログラムです。私が特に関わらせていただくのは15:30から予定されているトークセッション「ドナー家族×心臓移植者 〜それぞれの想い〜」であり、ここでは、“ドナー家族”として私=三浦ひらくと、“心臓移植者”である小西政志さん、そしてゲストとして河瀨直美監督が一緒にステージに立つという展開らしいです。

タイトルにある通り、ドナー家族とレシピエント、それぞれが両側から語る場です。提供する側、受ける側にも千差万別の思いがあるはずです。私たち二人はそれぞれの立場を代表するものではありませんが、私たちのような思いを抱いている者がいることも間違いない事実として、ご理解いただけたらと願います。臓器移植が正しいとか間違っているとかという話ではなく、考えた上での選択が大切だというメッセージが企画全体に込められていると理解しています。

オンライン配信があり、ネット環境さえあれば誰でも視聴できます!

視聴はもちろん無料ですし、事前申込みも不要とのことなので、「ちょっとだけ覗いてみようかな」という方も大歓迎です。お忙しい皆さまにもぜひ、ほんの数分でも届けば嬉しいなと思います。

ご視聴はこちらから!

そして、医療従事者向けの研修でもお話させていただきます!

プログラムにある通り、同時進行で医療従事者向けの研修(拡大版院内Co研修)も開催されます。こちらは現場で実際に移植医療と向き合っておられる皆さまに向けた内容で、一般には公開されない内容ですが…こちらでも私は30分ほどお話しさせていただく予定になっています。医療のプロの皆さまの前で、ひとりのドナー家族としての率直な感情や経験を語ることは、毎回少々胃が痛む仕事ではありますが…それでも”現場の誰かの背中をそっと押すことが必ず誰かを救うことになる”と思って、お伝えしてきています。

これは、医療側とご家族側のコミュニケーションがより良いものになることが、未来の誰かの救いに直結することを私自身が実体験として、そして頂戴する様々な声からすでに”知っている”からです。

いくら運転免許証や健康保険証、マイナンバーカードの裏面に臓器提供の意思表示欄があっても…“重い話だし、また今度でいいや”となりがちではないでしょうか。でも現実に、ある日いきなりその「今度」が来てしまうことがあるのです。だから私はこうして伝え続けているのです。

津山市議会での質問と同じです…耳の痛いことでも、先送りしないほうが良い話があるということです。

正直言って、わかるやろとも言いたくなりますが…「くーちゃんのことを話すのってつらくないですか?」と聞かれることがしばしばあります。もちろん、つらくないわけがありません。

でもね、その話が誰かを救うことに繋がっていると感じられるとき…私自身も、少しだけ救われるんですよ。

明日は私自身にとっても救いのある一日にしてきます。娘の命を未来に繋げていくために、ちゃんと伝えてきます。くーちゃんも必ず応援してくれているはずですしね。

皆さまも一緒に考えていただければ幸甚です。

(臓器移植って、自分にも関係ない話じゃないのかもしれない)──そう思ってくださる方が一人でも増えれば、それだけで大成功だと思います。ただ話したいことがありまくるので…議会質問前夜のように、今から項目を削る一夜漬けダイエット作業をしますね!

本日はこんなところで。それでは、また明日!

三浦 ひらく

三浦 ひらく -PROFILE-

世界を暮らしやすく楽しく変えるため、相棒ひらくマと一歩ずつでも現状改善していくために日夜ハゲむ、1978年生まれの岡山県津山市議会議員。選択肢の多い社会を目指し、政治も手段の一つと捉え、地域振興、多様性理解促進、生きづらさ解消、表現の自由を守るための活動、インフルエンザ脳症撲滅、臓器移植意思表示推奨などをライフワークとして活動している。