「おなごが選挙に出て、なんばすっとか!」から始まり、女性議長へ。服部香代山鹿市議に学ぶ改革の進め方。

未来拓く、みうらひらくです。
津山市議会議員、三浦ひらくです。

日付としては11月20日の話になりますが…アイキャッチ画像の通り…この日の夜は地方議員仲間の皆さまとのオンラインでの交流タイムがありました。

ローカル・マニフェスト推進連盟(通称LM)の会員定例会です。

先だっても、全国地方議会サミットを開催させていただくなど…現在は役員の一員として、積極的に活動に携わらせていただいている、日本中からやる気がある地方議員が多数参加している団体の定例勉強会だったということです。

議員として我先兵たるべし!「もっと狂っていい」と北川正恭先生に背中を押された地方議会サミット2日目。

2025-11-09

今回のテーマは「女性議員と議会〜多様な政策を展開するためにできること〜」というものでした。そして講師は、前・山鹿市議会議長であり「くまもと女性議員の会」の会長も務められている服部香代議員でした。LMでもかつて共同代表を務められていた、リスペクトする先輩議員の一人です。

香代さんには色々とお世話になりまくっているので…参加しないわけにはいかない回でした。

先だっての地方議会サミット…「芸人かよ!」って突っ込まれつつ。

山鹿市訪問時には大変にご歓待いただきました。

この時いただいた鶏肉と豆腐は人生で最も美味だったと思ってます!

2023年のマニフェスト大賞の際の一枚ですが…今よりもハゲ散らかしているなコレ。

今回は冒頭、私から主催者を代表して開会挨拶を任せていただきました。

世界的に見ても、女性が活躍の場を奪われてきた歴史が長く続いてきたこと…とは言え、日本でもついに女性総理が誕生するなど、流れは少しずつ変わり始めていること…しかし、その変化は地方にはまだまだ届ききっておらず…例えば津山市議会も、25人中女性議員は3人だけという現状であり、いわゆる“組織のバック”がないと、立候補そのものを諦めてしまいがちな空気も、未だに地方では根強いこと…などなど。

だからこそ、山鹿市議会で議長まで務め、「くまもと女性議員の会」の会長を務められている、服部香代さんの経験や苦労の積み重ねに触れられる今回の機会が…女性議員だけでなく、男性議員も含めた“すべての地方議会議員”にとって大事なヒントが詰まっているはずだと言わせていただきました。

地方から日本全体を少しでもマシな方向へ動かしていくために、今日は一緒に考える時間にしましょう…と、そんな呼びかけでスタートした会でした。

「女性が議会にいること」がそもそも想定されていなかった時代

まずガツンときたのは、女性が議会に存在すること自体が想定されていなかったという現実です。初当選された頃、山鹿市議会には女性議員は香代さんただ一人のみ、執行部側の幹部職員も全員男性だったとのこと。

驚くべきことに…当時の議会棟には、女性用トイレがなかったそうです。

傍聴席には女性も来ていたはずなのに、「議会で働く人の中に女性がいる」という前提すらなかったのではないか…というお話でした。そのトイレには扉すらついておらず…お願いしてまず、扉をつけてもらうことからスタートされたそうです。

今となっては「え、マジで?」と笑ってしまいそうになりますが…現実ですから、これは笑い事ではありません。制度も、建物も、慣習も…“標準仕様が男性前提で作られてきた”という経緯があるわけです。その積み重ねが今の政治・行政を形づくっているのだな…と改めて突き付けられた気がしました。

避難場所での心ない一言が、立候補の決意へと繋がった

議員を志した原点には、東日本大震災の際の避難場所での出来事があったとのことでした。避難所に生理用品を届けに行った際、男性の責任者に「今はそんなもの不要だ」と言われた体験がキッカケになっているとのことでした。悪意や敵意があったわけではないでしょうし…ただ単に、“自分ごととして想像できなかった”だけかもしれません。

ただそれでも、そこには確実に”困っている誰か”がいたはずです。

「ものごとを決める場に多様な視点がいないとダメだ」と痛感されたことで議員を志した香代さんの思いには…大いに賛同しますし、非常に大切なことだと思います。

当時、山鹿市議会に女性議員はゼロ。

「それなら自分が立候補するしかない」と腹を括って、選挙に挑む決意をされたそうです。

数字の話や制度論だけではわからない、“当事者の物語”

初めて立候補した際は、遊説中に高齢男性から「おなごが選挙に出て、なんばすっとか!」と言われたとか…。若者、馬鹿者、よそ者感が漂っていた私の初挑戦時にも…散々同じようなことを言われたなぁと、思わず懐かしく目を細めてしまいました。

また、過去の経緯の説明だけで終わらず…ちゃんと現在進行形で結果を出している事例についても次々に紹介されました。その中でも特に印象的だったのは、比較的多くの自治体において取り組んでいるであろう…小中学校のトイレ個室に生理用品を配置する取り組みです。

・女性議員の一般質問をきっかけに議論が始まり
・議会として全会一致で、市と教育委員会へ要望書を提出
・報道機関にも取材してもらいながら、男性議員の理解もセットで広げていった

…という、非常にオーソドックスかつ丁寧なプロセスを経て、実現したそうです。

ポイントは、「なぜ個室なのか?」というところ。

声を上げづらい子でも、誰にも知られずに必要なものを手に取れるようにするため…とのことでした。

これは正直、男性の感覚だけではなかなかたどり着けない発想かもしれません。同質性からは豊かな発想や新しい取組みは生まれにくいものであり、だからこそ多様性が求められ、それが社会を豊かにしていくのだという香代さんの考え方に、私は心から同調するものです。

お祭りに“出前”する議会報告会のあり方

もう一つ興味深い姿勢だなと感じたのが、議会報告会の会場づくりです。「議会報告会やっても人が来ない問題」に悩む自治体議会は少なくないと思いますが、山鹿市では女性議員の提案から、地域のお祭りの場にこちらから出向いて、議会ブースを出したところ…これがかなり好評だったそうです。

お祭りに来たついでに、ちょっと議会の話も聞いてみる。

子連れの方も含めて、いつもなら足を運ばない人と自然に接点が持てる取り組みになったとのこと。「議会に来てもらう」のではなく、真に「こちらから出ていく」スタイルの議会報告会だと感じました。ウチの議会でやっている出前懇談会もまだまだですね…この姿勢は見習わないと!

「くまもと女性議員の会」という横の繋がり

2022年に発足した「くまもと女性議員の会」についての紹介もありました。「立候補者を増やすこと」だけにとどまらず、当選後の議員としての力を伸ばすサポートにも力を入れ、月1回程度のオンラインミーティングでは、現職議員のリアルな経験談の共有や困りごとの相談、テーマ別のグループワークなどを行い、「一人で抱え込まなくていい場」をつくっているとのことでした。

女性議員に限らず、地方議会全般に必要なインフラでは…と思うレベル。

Q&Aで浮かび上がった“永遠のテーマ”

後半の意見交換パートでは、全国の参加者から次々に質問が飛びました。

男性議員の意識はどう変わってきたのか?
生理用品をトイレの個室に置くことへの理解を、どう広げていったのか?
行政側の管理職ポストに女性が少ない現状を、どう捉えているか?
男性議員をどうやって巻き込んでいけばいいのか?
女性の立候補者を増やすための実践的な手立ては?

…などなど。

「女性の意見だから通せ、というスタンスではなく、
議会という“合議制の場”のルールに則って、手順を踏み、準備を重ねることが大事」
「一人でもできることはたくさんある。行動を重ねて、少しずつでも現場を変えることが大切」

といった趣旨の回答がありました。文字数の都合で(?)香代さんの回答を、乱暴にまとめるなら、

これは“女性の問題”というより、“民主主義と議会の基本”の問題。

…ということだろうと、私は受け取りました。

少しだけ“LM営業トーク”

ローカル・マニフェスト推進連盟では新規会員を絶賛募集中!

地方議員の皆さまには、ぜひ会員になっていただきたいと願っています。それがそのまま、日本をちょっとずつ良くしていくことに直結していると信じているからです。私のようなイロモノ議員が役員の末席に名前を連ねているせいで、「ユルい団体なのでは?」と勘違いされるかもしれませんが…実態として、超真面目に様々な課題に取り組んでいることは活動をご確認いただければ明らか

「ちょっと気にはなっていたんだけど…」
「名前は聞いたことあるけど、どんな雰囲気かわからないし…」

という皆さまには、まず安心の(?)“定例会お試し参加”を行っていますので、百聞は一見にしかず…強くオススメします。…というわけで、せっかくなので宣伝をもう一押し。

ちなみに次回直近の企画は…定例会じゃない有料企画だけど…豪華メンツが登壇されるこちら!

鈴木綾子さんはマニフェスト大賞の実行委員長として、当ブログでもお馴染み(?)なはずですし…片山兵衛さんも、熱心な読者なら知っているはずの天才すぎる議会広報の超第一人者…そして、議会関係者なら知らぬ者はいないであろう、選挙ドットコムの高畑卓社長による最先端的技術活用の最初の一歩が学べる会です。

ぜひ、お申し込みください!

服部香代議員の経験と実践を通じて

議会に多様な視点が確保されていることることの重要性、アイデアを成果に結びつけるための進め方、一人からでも始められる議会改革等について、改めて考えさせられる時間でした。

津山市議会に限らず「女性議員と議会」「多様性と政策づくり」というテーマは、今後益々大切になります。これからも様々なシーンで、こうした学びと繋がりの場づくりにも、関わっていきます。

それがツヤマノミライに役立つと確信していますのでね!

本日はこんなところで。それでは、また明日!

三浦 ひらく

三浦 ひらく -PROFILE-

世界を暮らしやすく楽しく変えるため、相棒ひらくマと一歩ずつでも現状改善していくために日夜ハゲむ、1978年生まれの岡山県津山市議会議員。選択肢の多い社会を目指し、政治も手段の一つと捉え、地域振興、多様性理解促進、生きづらさ解消、表現の自由を守るための活動、インフルエンザ脳症撲滅、臓器移植意思表示推奨などをライフワークとして活動している。