このまま進めて大丈夫?部活動地域移行、準備は進むけど不安も進む。何じゃソレ発言もあった会議潜入レポ。

未来拓く、みうらひらくです。
津山市議会議員、三浦ひらくです。

本日は会派ツヤマノチカラの3人で珍しくランチミーティングを行った後に…全員揃って津山市部活動の在り方検討及び地域連携・地域展開推進会議に出席しました。

久々の美味しく健康的なランチ、お腹いっぱいいただきました。

その後でしたが…眠くなる時間帯などないくらいに、(う〜む、大丈夫かコレ?)と感じるようなシーンが続いたような印象を覚えています。

令和8年度からの本格実施に向けて、準備が着々と進んでいる…という報告が中心

資料も丁寧に作られていましたし、関係者の皆さんがそれぞれに本気で取り組んでいるのも伝わってきていることはまずハッキリと書いておかねばならないでしょう。大前提として、敬意を持って話を伺っていたわけですが、会議を聞き終わった後に残った感覚は、正直なところ微妙だったということ。

「うん…それぞれに動いてくださっているわけだ。でも、このまま押し切って大丈夫なん?」

そんな感じでした。

進めないわけにはいかない話です。

だからこそ…今回感じた“引っかかり”を、問題提起として整理しておきます。議会質問も見据えてではありますが、少なくない関係者がチェックしてくださることにも期待して、「ここを詰めないと現場が燃えるんじゃない?」的な論点整理をしておこうという意図です。本当はもっと多くのツッコミどころがありましたが…細かい点は置いておいて、ザックリ書いていきます。

①「選択肢が増える」って言うけど、そもそも“場所”が足りてない問題

対象となる部活動リストは拡充されており、着実に競技だけでなく教室数も増えてきています。これは良いことではあるのですが、同時に、会議で繰り返し出てきたのが”体育館も公共スポーツ施設も基本的にすでに使用枠が埋まってる”という問題です。

いくら選択肢を増やしても新規参入は難しいという現状があることは大きな問題ですし、施設仕様に伴うトラブルや調整の負担は学校に集中しがちであることなども、教職員の皆さまの負担を減らすという視点からは問題点として挙げられるでしょう。

つまり制度上は「選べる」にもかかわらず、現実的には「選べない」という矛盾。

こうした状況が生まれるのだとしたら、絵に描いた餅になりかねません。

選択肢を増やすことは子どもたちにも大歓迎される方向性でしょうが、まず“受け皿の数”が足りていないと、結局は“選択肢があることになってるだけ”になってしまうのではないかと危惧します。

②「公平性が大事」って言うけど、移動・送迎の格差がもう見えてる

会議では”公平性”についても何度も話題になってました。

費用、移動、地域格差…まさにここは地域移行のキモとも言えるポイントです。

ただ、本日の議論の雰囲気をそのまま受け取ると…遠い地域はそもそも通うのが厳しい、送迎は保護者頼みになりやすい、定期的に場所を取るのも難しい…などといった“現実”が先に立っていて(ソレ自体は当たり前の話ではあるのですが)、対策がまだまだ明らかに弱い印象を覚えました。これを、放っておいたままで進めていくと以下のような構造になることは明白です。

住んでいる地域や、家計状況によって選択肢が大きく変化する。

正直に言って、これはどうしても生じてくる問題です…例えば誰もがF1レーサーになれるわけではなく…改めて言うまでもなく何らかの形で、誰かがコスト負担やサポートをしていかないと、どんな活動であっても継続的に取り組んでいくことは難しいわけです。個々に取り組めることには個々で取り組んでいただくべきですし、そうした場合に、”格差”のようなものが生まれるのは、ある程度は仕方がない…と言うよりは”厳然たる事実”であって、そこを平等にと突き詰めていくと、社会主義国家になってしまうでしょう。

ただ、私たちが話し合うべきは、公共としての”公”の支援のあり方です。

こうなると話が変わるわけで…公共性はもちろんのこと、私がいつも口を酸っぱくして言い続けている”機会の平等”という観点は絶対に抜け落ちてはならないと考えます。今のままで進めていくことで、「地域の子どもは地域で育てる」という理念でスタートしたはずなのに、いつの間にか「家庭の体力勝負」で分断される危険があるということは指摘しておきます。

公平性の確保って、言葉で掲げるものじゃなくて…参加できる条件設計なんじゃないかなと思います。

③教職員の負担軽減が大きな目的のはずが、地域イベントの扱いが“宙ぶらりん”

特にトピックになっていた感があった、吹奏楽の話が象徴的でした。

皆さまご存知のように、吹奏楽部は地域のイベント等に呼ばれることも多いわけで、現在は地域にとっても大事な文化であると同時に、子どもたちにとっては成果発表の場になっていることについて言及がありました。一方で、教員が土日も帯同する形が常態化すると、働き方改革とはぶつかるわけです。

ここがしっかり整理されないまま進められるとどうなるでしょうか。子どもは出たい、地域は呼びたい、学校(教員)はもう無理…となって、結果的に全員がしんどい状態になって、持続可能な活動を目指していたはずなのに…できるわけないじゃんって最悪の未来が見えませんか?

”学校と地域の関係を大切に”という思いは大事だとは私も思いますが…運用の話としては、参加するイベントの整理を誰がやるのか、責任主体はどこか、連絡調整の窓口は誰か、保険や安全管理はどうするのか…こういった具体的な制度設計の話にまで踏み込んだ議論がなされないと、制度がスムーズに回っていかないのではないでしょうか?

会議の中でも、吹奏楽は課題が多岐にわたり、方向性が定まっていないと明言されていました。

確かに、そりゃそうでしょうね…ある意味で最難関とも言えるテーマかもしれません。楽器は高額だし保管や運搬の問題もあるし、防音設備も考えて練習場所を確保しないとならないし、指導者や費用負担の問題など…もう全部が絡んでくる代表選手が吹奏楽部です。

こんな話を曖昧にしたまま令和8年度を迎えて、移行できますかね?

かなり危ないと思っています。少なくとも、学校部活動として継続するのか、拠点校方式にするのか、地域クラブ化するのか…先に結論を出しておかないと、議論がずっと漂流したままでは問題を先送りするだけで、誰一人得しない状況、結果的に子どもたちが最も割を食う状態が続いていくことなるのではないかという懸念が残ります。

④部活動にもクラブ活動にも参加しない子や、アンケートに回答しない子たちは?

会議内では地域クラブ活動リスト配布の成果検証や、今後の子どもたちの動向予測を目的に今年11月から12月にかけて実施されたアンケート結果が共有されました。最も気になった点は回答者数の少なさです。

市内の全ての中学生お対象に実施しているはずですが、回答者数は1,886人。対象者数すら明記されておらず回答率にも触れられないような結果共有の仕方は有り得ないと思いましたが、誰からもツッコミはなし…傍聴なので発言権はありませんでしたが、市内には2,600人ほどの中学生がいるはずだと理解しています。

未回答の子たちの思いは無視かな?

そしてアンケートに回答していても、学校部活動にも地域クラブ活動にも、どちらにも参加していないという子が1割強いるこが明らかになりました。

1割って、普通に重いです。

書いてきたように…部活動が縮小されて時間が空くけど、受け皿は足りない。保護者の意識も明らかにまだまだ十分に浸透していない。しかも公平性や機会の平等という観点からも問題があるわけです。

こうした条件下で”参加しない子”が増えたら、単なる“自由選択の結果”では済まない可能性があると思われませんか?

居場所、孤立、体力・精神面、家庭環境…支援が必要な領域の問題に接続する危険があります。

⑤保護者が立ち上げるクラブは希望でもあるが、行政が寄りかかったら終わる

保護者主体の動きがあることにも触れられました。動き自体はとても素晴らしいと思いますし、こういう芽が広がるのは、地域展開の理想形に近い。ただ、それを成功物語にしてしまうと危険でもあることを、私たちは見ないふりをや気づかないふりをしてはならないのです。

動ける家庭は動けても、動けない家庭は取り残されるわけですからね。

行政が「保護者がやってくれるから」で済ませ始めると、制度が家庭に依存することになります。

支えるのか、任せるのか…ここは自治体としてある程度態度を決めないといけない局面だと感じます。

で、結局なにが言いたいの?(まとめ)

今回の会議、努力と進捗は確実に見えましたが…同時に、現場の矛盾もかなりクリアに浮かび上がっていた印象です。このまま進めるなら、せめて「何が整えば本格実施OKなのか」「無理をさせない基準な何か」程度の、実施判断の“ゲート条件”を置くべきだと強く感じます。

また、今日の会議内では教育関係者から信じられないような発言がありましたし…委員の方と会議後にもお話をさせていただく機会がありましたが、このままではいけないような印象を覚えておられるのではないかなと感じるような意見も聞かれました。懸念ばかり書き記してきましたが…eスポーツ部などの選択肢があっても良いのではないかという趣旨の発言をしてくださった流れで、子どもたちの声を聞くべきだと訴えてくださった委員がおられたことは、とても有難く心強いことだなと思っています。

津山市教育委員会からは、子どもたちの声も聞きながら進めていっているとの話もありました。評価はともかく、今後さらに強く持っていただきたい姿勢です。

また、本件の情報公開が極めて不足していると強く感じていることも、最後に付言しておきます。

本日はこんなところで。それでは、また明日!

三浦 ひらく

三浦 ひらく -PROFILE-

世界を暮らしやすく楽しく変えるため、相棒ひらくマと一歩ずつでも現状改善していくために日夜ハゲむ、1978年生まれの岡山県津山市議会議員。選択肢の多い社会を目指し、政治も手段の一つと捉え、地域振興、多様性理解促進、生きづらさ解消、表現の自由を守るための活動、インフルエンザ脳症撲滅、臓器移植意思表示推奨などをライフワークとして活動している。