KPIの魔物と眠気に勝てるか?総合計画しごとづくり分科会潜入記。やった感からの脱却で、切り拓け未来!

未来拓く、みうらひらくです。
津山市議会議員、三浦ひらくです。

眠気とも戦いつつ、総合計画審議会(しごとづくり分科会)を傍聴してきた話

本日は津山市総合計画審議会の第2回分科会が開催され、傍聴に入りました。傍聴になんて入っても意味がなかろう…と言われる方もおられますが、そうでもないとは思っています。

同じ時間帯に、「ひとづくり」分科会(第1委員会室)、「しごとづくり」分科会(202会議室)の二部屋同時開催だったわけですが、しごとづくりの方へと潜入。分身できるなら良いのですが、時間帯をずらして開催するなどの配慮も欲しいところだったとは感じています。

津山市の最上位計画である総合計画策定に向けて、どうすべぇと話し合う場です。

委員の皆さまがそれぞれに自説を延々と展開された中には、眠くなるような時間帯もあったような気がしなくもありませんが…「え?その施策、一体いつの間に決まったの?」「え?その指標、誰が納得したの?」「え?それって成果なん?」…などとならないように、後になってオイオイオイオイとならないように、できる限りこうした場に傍聴に入ることも大事だよなぁと思うわけです。

まぁ傍聴者に発言権はないのは残念ですが…。

昨日のエントリーも傍聴潜入記でした。

このまま進めて大丈夫?部活動地域移行、準備は進むけど不安も進む。何じゃソレ発言もあった会議潜入レポ。

2025-12-23

こうやって自分が所感を発信することには単なる備忘録としての意味以上のものがあることについては確信しています。職員の皆さまもチェックしてくださることもあるし、何より市民の皆さまに興味関心を持っていただくキッカケにもなりますからね!

まず良かった点:事務局、前回の指摘をちゃんと直してきた

ハッキリ言って超絶当たり前の姿勢ではあるのですが…ここは素直に評価ポイントです。行政関係の会議に限らずあることですが…たまに「前回の指摘?えっと……“参考にします”って答えましたよね?」で終わるような会議もあるのでねマジで。

今回の会議では前回出た意見を受けて、指標(KPI)の見直しや文章の追記・修正、取組と指標の対応関係の整理などがされていました。

できる限りアウトカム(成果)指標 を置くように修正したというポイントは、何年も前から私自身が議場でも追及しまくり求めまくってきた点でもありますので(非常にエエこっちゃ!)と思いながら聴いていました。ただし、成果指標がどうしても難しい分野は アウトプット(実施量)で代替したり、1つの取組に1つの指標で整理できない場合は、複数指標にしたところもあるとのことで、目標値も含めて、改めて今後設定・公表していくとの考えが示されました。

今日も色々と感じたツッコミどころは大きなものを後にまとめて指摘するとして…要は「やった感KPI」から「結果が見えるKPI」へ寄せていきますよという姿勢をやっと示してくれはじめたのかなと感じました。方向性としては極めて正しいと思っています。具体的な修正ポイントにも言及がありましたが、長くなるので割愛します。

で、ここからが本題:ツッコミどころは、むしろ“指標の作り方”に集約される

今回の会議の傍聴中に限らず、私の頭の中によく流れる字幕は、上でも少し触れたコレです。

(それ、“成果”って呼んで良いんだっけ?)

指標って言うまでもなくメチャクチャ大事なものなんだけど…魔物にもなるわけですよ。数字が置いてあるだけで”ちゃんと管理してます感”が出ますしね。でも例えば、中身が”やった量”だと、それだけで未来が良くなるものだとは言い切れないわけです。

”未来拓く”には繋がらないわけです。

ツッコミ①:「研修受講者数」は、努力の証明であって成果の証明ではない問題

今回の会議中、象徴的だなと感じた一つの例がこれ…”研修の受講者数”が指標になっているわけです。もちろん研修は大事です。学びも大事。知識も大事。そんなの当然の話です。

でも、ここは“しごとづくり”分科会なんですよね。

しごとづくりって、最終的に何か?

市内企業が稼げるようになるとか、企業価値が上がること…雇用が生まれるとか、給料が上がること…市内でお金が回るようになること…この辺りの結果、成果に繋げたいわけです。

研修を何人が受けたかは、言うなれば練習回数…大事だけど、試合の結果を指標にすべきでしょ?

なので、このあたりは委員の方からも出ていた通り、出荷額(農業でも製造でも)とか、付加価値や売上の伸び、労働生産性など、「稼ぐ力」を示す成果指標を核として置くべきだよねという話になると思います。ここはかなり重要な論点だと理解しています。

ツッコミ②:流行り言葉を追記しましたで終わると、”単語が働いてるだけ”になる問題

今回、「中小企業のデジタル技術やAI活用を進めるべき」という意見を受けて、計画に追記した、という説明がありました。確かに、テクノロジーの積極活用は私自身の思いとも大いに合致しますが追記は一歩前進ですが…流行り言葉に乗せられて、”AI”って書いた瞬間に、計画がこういう状態にならないかなと危惧しています。

”AIも活用しちゃうよ〜!(※ただし何をするかは言っていない)”

AI活用に限らず、あらゆる手段に言えることですが…目的がないと全部空振りしてしまうものです。何を狙うのかで、支援手法が全然違うわけですから、AI活用推進を謳うのであれば最低限、どの規模でどの業種に活用するのかの対象や、支援の形、成果指標などもある程度具体的に示してこそ、初めて“計画”になるのではないかと考えます。計画に単語をただ加えるだけだと、AIが働くんじゃなくて、AIという文字だけが働くことになる。これは避けるべきだろうと強く感じました。

あと、恐らくきっと…(AIってゆーか生成AIのことをイメージしている委員が多いんじゃないのコレ?)と思いながら聴いていました。

他にも…わかりやすさもあって、この種の会議のテーマとして取り上げられがちな観光についても様々な意見が出ていました。私自身も、議員にならせていただく前に観光関連の仕事をさせていただいていた経験から、この分野には色々と思うところがあります。

ただ、観光を“しごと(産業)”として語るなら、やっぱり見たいのは、交通を含めた周遊の仕掛けや滞在時間、消費金額を増やすための工夫…このあたりです。イベントは盛り上がるかもしれませんが、イベントの来場者数だけに焦点をあてると、にぎわい創出の話で止まりがちですからね。このあたりを次の段階として、計画上の指標にどう落とし込むかが鍵になるのではないかと思いますので、期待しています。

もちろん農業関連の話も出ました。農林部の皆さまが鳥インフルエンザへの対応で欠席されていたこともあり、あまり議論が深まらなかった印象ではありますが、新規就農や定着は、売上や販路だけではなく生活環境が決定打になることなどにも触れられました。大事な視点です。

だからこそ、しごとづくり分科会で語って終わりじゃダメだと思うんですよね。

なぜならば、生活環境って…住まいや地域コミュニティ、子育て、交通、医療、教育等々…もう、あらゆる部局横断の話になることなのですから。

つまり”しごとづくり”の中で出た論点を、総合計画全体で横串として回収できているかが問われるってこと。

もちろん他の分科会での話についても同様ですが…ここが回収できないと、計画は「分野ごとの作文」になってしまいかねないわけです。このあたりは議会において確認させていただくつもりでいるので、しっかりと対応準備をしておいていただきたいところです。

まとめ:一歩前進の会議だったが、成果が見えるKPIを核にせねば計画は軽くなる

今回の事務局修正は、前進したと感じられるものでしたが、KPIはアウトカムに寄せたつもりでも、まだまだアウトプットが目立つ印象です。

“しごとづくり”なのに、地域経済の動向を感じられる指標が薄いままではいけませんし、AI活用も観光も農業も、単語や取り組みが踊っているだけでは実社会の改善には届いていかないでしょう。個人的には、分野横断の取り組みを計画全体で拾えるかが勝負という課題が浮かび上がった回だったと思います。

総合計画の議論の本質って、ここではないかと思っています。

「何をやるか」より、「何が良くなったら成功なのか」を決める。

これを避けてフワッとした文言を並べてみても…計画はそれっぽく見えるだけで、現場は変わらないのではないでしょうか。

職員の皆さまの多くのリソースと、少なくないコストをかけて作り上げる、津山市の最上位計画だからこそ…“眠くなるような計画”ではなく、“津山を本当に動かす設計図”になるように…引き続き、しっかりと動向を見守っていきます。

アイキャッチ画像は退庁の際にすれ違い、声を掛けてくださったアネゴとの一枚。

皆さま、良いクリスマスイブをお過ごしください!

本日はこんなところで。それでは、また明日!

三浦 ひらく

三浦 ひらく -PROFILE-

世界を暮らしやすく楽しく変えるため、相棒ひらくマと一歩ずつでも現状改善していくために日夜ハゲむ、1978年生まれの岡山県津山市議会議員。選択肢の多い社会を目指し、政治も手段の一つと捉え、地域振興、多様性理解促進、生きづらさ解消、表現の自由を守るための活動、インフルエンザ脳症撲滅、臓器移植意思表示推奨などをライフワークとして活動している。