未来拓く、みうらひらくです。
津山市議会議員、三浦ひらくです。
日付としては少し前、10月7日の話になりますが…「校則と児童生徒指導を考える地方議員連盟」の2025年度の総会と研修会にオンライン参加しました。議連の運営には携わっておらず、運営メンバーの皆さまに毎度お世話になっているだけの自分にとって、正直なところメインイベントは先に開催された研修会の方でした。いつも素晴らしい内容で勉強になるのですが、今回は特に、法律・実務・現場のリアルをがっつり詰め込んだ内容で、参考になる点が多かったです。
🎓 テーマは「子どもの意見表明&子どもの参加する権利、そして校則」
講師は、子どもの権利や教育現場での実務に詳しい弁護士のお二人でした。話の中心となったのは「子どもの意見表明権」、つまりは“子どもが自分のことについて意見を言い、それが尊重される権利”についてでした。私も度々、津山市議会において取り上げ続けてきている分野であり、子どもの権利条約やこども基本法にも明記されている子どもの権利の超絶基本であり、根幹と言える部分です。

校則というのは、毎日の学校生活に直結する“ルールの束”です。
「髪型」「靴下」「スマホ」「服装」…そんな細部にまで及ぶこのルールこそ、まさに子どもたちの意見が反映されるべき領域であるにもかかわらず、現実にはその声がなかなか届いていないのが現状です。津山市においても、かつての状態はひどいものでした。何度も何度も何年にもわたって言い続けて、ようやく少しずつ改善してきているのが現状です。
💬 “言っても無駄”にしないために
意見表明の機会は、意見を言う“場”ではなく、意見を尊重する“関係”から始まるのだという考え方を、私たち大人は忘れてはならないと思います。大人に物怖じせず、意見をぶつけることができる子どもも確かにいますが…そういう子どもたちばかりではないことは、誰よりも現場の先生方こそが一番わかっているはずのことです。子どもが意見を出すためには、「言っても大丈夫」「言っても怒られない」「言っても無視されない」という“安心”がまず必要であることを再確認する機会になりました。
そのためには…意見表明することを評価や指導と切り離す、匿名やグループ形式など複線的な方法を設ける、出した意見にどう対応したかを必ず返す…といった対応や工夫が不可欠とのことでした。特にフィードバックを返すことは本当に重要だと実感しています。せっかく言っても何も変わらないと感じさせてしまっては、逆効果になりかねないからです。このあたり、学校現場だけの問題ではなく、私たち大人社会全体にも突き刺さる話ですよね。
子どもの参加する権利についても、津山市議会でも取り上げ続けてきている内容をより深く学び、考える機会をいただけました。参加する権利と一口に言っても、自己決定的参加権と社会形成的参加権の二つに分けることができ、それぞれに、子どもの権利条約において定められている権利が含まれることを整理して示していただきました。
自己決定的参加権には第12条に定められた意見表明の自由、そして社会形成的参加権には第13条の表現・情報の自由、第14条の思想・良心・宗教の自由、第15条の集会の自由、第17条の情報へのアクセス、第23条の障害児の積極的な社会参画、第29条の自己実現のため、および責任ある市民になるための教育、第31条の遊びと文化的、芸術的生活への参画などが含まれます。
🧭 校則見直しの最前線:東村山第一中の例
紹介された事例の中でも光っていたのが、東京都東村山市の中学校で行われた校則見直しへの取り組みです。生徒たちが自ら校則の在り方を議論し、「毎年見直す仕組み」を自分たちで決めて、しかも、その手続きを生徒手帳に明文化しているという徹底ぶりなんだとか…守るべき生徒が納得したルールでなければならないと考えた大人も素晴らしいですし、その思いに応え続けている子どもたちも素晴らしいと感じます。
令和4年に12年ぶりに改訂された生徒指導提要にも、校則の運用については以下のように書かれているのです。
校則に基づく指導を行うに当たっては、校則を守らせることばかりにこだわることなく、何のために設けたきまりであるのか、教職員がその背景や理由についても理解しつつ、児童生徒が自分事としてその意味を理解して自主的に校則を守るように指導していくことが重要です。
そのため、校則の内容について、普段から学校内外の関係者が参照できるように学校のホームページ等に公開しておくことや、児童生徒がそれぞれのきまりの意義を理解し、主体的に校則を遵守するようになるために、制定した背景等についても示しておくことが適切であると考えられます。

“ルール”ではなく“手続き”を自分たちで管理することが重要なのです。
民主主義の本質を、子どもの頃から体感できるすばらしい実践事例だなと感じました。
🪜 「参画のはしご」で見える成熟度
研修内では、子どもの「参画」の具合を段階的に示すロジャー・ハートのはしごについても紹介されました。
下段には「お飾りの参画」「形だけの参画」など…そうなっていてはいけませんよと指摘し続けている、津山市での多くの状況も当てはまるようなフレーズが並んでおり、上段にいくほど自分の意志に基づいた参画ができている状態になるという、視覚的にもわかりやすいバロメータです。
最上段は大人との共同意思決定。
中学生くらいになれば、そこは十分に目指すことができるという解説には大きくうなずかされました。「大人に押し付けられたルールに子どもが従う」でないことは当然ですが…「子どもが決めたことに大人が従う」でもなく、互いに納得するための対話のプロセスを築くことが大事なんですよね。

🧠 “能力推定”の原則と現場の工夫
また、「子どもには意見を表現する力がある」という“能力推定の原則”も大切なポイント。言語化が難しい子には絵やカードを使うなど表現方法を工夫すれば良いだけの話であり、誰でも意見表明の場に参加することができます。そうした小さな工夫の積み重ねが、結局は「声を聴く文化」を育てるのだと、私は確信しています。
そして、今それが十分でないことも実感しているのです。
✋ パブコメ問題──なぜ声が届かないのか
質疑応答では、自治体の子ども向けパブリックコメントに“1件しか意見が来なかった”という課題が取り上げられました。
これについて講師は、「社会的参加の土台が学校で育っていない」とバッサリ。
要は今まで全くそんな土壌がないところで、いきなり「さぁ何でも言って良いよ!」と言ったところで…誰も何も言えるはずがないでしょってことです。だからこそ、まずは学校で“日常的に意見を言える経験”を積ませること、その積み重ねが大事だという話でした。これはまさに、議会や行政の広報広聴にも通じる本質的な話だったようにも思います。

🗳️ 総会もサクッと報告!
インプットの多かった研修後の総会では役員改選や会計報告、次年度の事業計画などが承認され、会としての活動方針も確認。全国各地の議員がこのテーマに継続的に取り組んでいることを実感できる時間でした。
校則は単なる決まりではなく、対話の入口。
そういう意味でも非常に重要だと改めて感じました。津山市内でも、校則や生徒指導の在り方を見直す流れが少しずつ動いています。私も議員の立場から、校則の定期的な見直し制度や生徒・保護者の意見表明プロセスの明文化の提案など、引き続き動いていくつもりです。
本日はこんなところで。それでは、また明日!