インクルーシブ教育×ICT活用推進フォーラムへ!津山の実践山盛り、プレゼントGET気分のクリスマス。

未来拓く、みうらひらくです。
津山市議会議員、三浦ひらくです。

メリークリスマス!

息子がまだ眠っていて、サンタさんからのプレゼントをどんな反応で開けたのかも確認できないままでしたので妻に動画撮影を頼み…私は今朝は早くから岡山市に向かいました。個人的な用件に午前中を費やしたのち、午後からはピュアリティまきびにおいてオンライン併用で開催された、「インクルーシブ教育×ICT活用推進フォーラム」に参加してきました。

本日は津山市でも子どもたちへのクリスマスプレゼントとして(?)、グリーンヒルズ津山へのインクルーシブ遊具設置のお披露目会がありましたが、私としてはその先を見据えて、そして最も優先されるべきと考える教育現場での環境改善を目指す意味でも、岡山県教育委員会が実施するこちらに潜入させていただいた次第です。

「会場参加している議員さんなんて、三浦さん以外には誰もいないはず。」と、ある先生からは過分に姿勢を誉めていただきましたが…「岡山県内で私が最もこの分野に関心を持っているってことです!」と胸を張れるほどには取り組めていると思えていないのが正直なところですので、「やる気だけは誰にも負けないと思っておいてください!」とお返ししました。

それでも会場には年末の誰もが忙しいであろう時期に100人を超えるであろう方々が集い、盛況だったと言えるのではないかなと思っています。オンラインで参加されていた方々もおられるわけですが、この企画は会場に集っていないと、少なくとも一部と二部の内容を肌感覚で感じとることはできない構成になっているわけで…実際に足を運んで良かったなと強く感じています。

現場の実践と、これからの方向性をまとめて吸収できる時間でした。

少しでも興味がある方は、こちらをご確認いただくのが良いと思います。

正直、私がまず気になったのが…津山市教育委員会からの参加でしたが、それこそ超お忙しい中を学校教育課長がギリギリの参戦になりながらも駆けつけてこられたという姿勢には頭が下がりました。課長とは少しだけ意見交換もさせていただきましたし、今後に期待が持てる時間になったと思っています。

現場の先生方の頑張りだけで、インクルーシブ教育×ICT活用が前に進むはずもないことは、私の感想ではなく、現場の声としても聞こえてきています。自治体として“支える側”がどれだけ一緒に入って、運用として積み上げるのか…今日のフォーラムには、そこも含めて見たいと思って潜り込んでいました。県教育次長の開会挨拶には「誰もが自分らしく輝ける共生社会実現の第一歩」とのフレーズがありましたが、まさに、その第一歩となる“実装”を見に行ったのです。

第1部(13:15〜14:25)ポスター発表
「良いことやってます」で終わらせちゃいけない世界

第1部はポスター発表。ラインナップは上に貼り付けたチラシの通り、幅広い内容です。全ての取り組みについてしっかりと伺うことは時間的に無理だったので、津山市立つやま西幼稚園と、津山市立北小学校の二つの話だけは漏らさずに伺いました。

良いことをやっているからこそ…子どもたちがどう変わったのか、どんな成果があったのか、それは持続可能なのか、また他のケースへの応用についての諸々が示されないと、広がっていかないという懸念は、第3部の中でも講師から同趣旨の発言がありましたが、この種のセッション共通のテーマだよなとは自分も予め感じていました。「いや〜、ここは良いことやってんね。素晴らしい!」で終わるなら全く意味がないということです。

津山市立つやま西幼稚園の取り組みについては、無理やり感がないからこそ“成果”が見たいと講師にも評されていましたが、個人的には成果と呼べる報告もあったように感じています。津山市を代表して発表してくださった内容には、多くの関係者がメモをとりながら真剣に聞き入っており、こうした取り組みを私立保育園なども含めて、市内全体に波及、普及させていくことが肝要であると改めて感じました。

そのまま落とし込める園ばかりではないことは当然ですし、それぞれの事情に応じた形で落とし込むための工夫を考えるのは受け取り手の仕事でありますが…市外に発信するほどの内容が市内の現場において知られていない現状があるとしたら、それは市にとってマイナスだと言えないでしょうか。

色々と参考になる話が伺えましたが、誰かの気づきが誰かの学びになって、また新たな気づきを生む連鎖に繋がっていく…だからこそ、気づきを共有できる場や、そうした場で心理的安全性が確保されることが大切なのだという話は、メチャクチャ大切なことだと感じました。そうした現場で働いておられる皆さまは、自然と子どもたちのコミュニケーションもそういう環境下で行われるべきだと思い至るかもしれませんが…そうでない場合は果たしてどうでしょうか?

園等だけの問題ではなく、これは小学校や中学校でも同じように取り組んでいくべきメソッドだと感じた次第です。子どもの事故予防や、子どもたち自身の自主性を養っていく観点からも大切な姿勢だと考えます。さらに言えば、特別支援やインクルーシブなどの冠がつく取り組みは特に、現場で個々が「頑張り続ける前提」で回すと、いつか崩れてしまって続かないものです。頑張りの上に“仕組み”を乗せないと続かないからこそ、考えなくてはならないことがあるはずです。

だからこそ、こうした取り組みの結果として、子どもたちが具体的にどうなったのか…先生の負担はどう変わったのかなどの成果が見えれば、他園へと横展開できる訴求力が高まると期待できます。津山市としても形を整えていくヒントが詰まった話だったとは思いました。

津山市立北小学校の話はより具体的で、説明の中でも”本児”と表現されていた特定の子の事例をもとにしたお話でしたが、これは一個人の問題ではないという視点が極めて重要です。津山市議会でも何度も取り上げて来ていますが、文部科学省などのデータからも、いわゆるLD(学習障害)に該当する子どもたちだけでも津山市内にも相当数おられることが推測されるわけですし、そもそも全てはグラデーションです。誤解・無知が招きかねない悲劇を防ぐためのリスクマネジメントとしても、もっと多くの方々に聴いていただきたい話でもありました。

北小学校のパートで特に刺さったのは、この整理です。

自分に合う文具がないと学べない。

iPadが学びの文房具として必要だという、子ども本人からのメッセージも含まれていた説明は、物凄く本質的で、しかも教育の世界で昔から放置されてきたというか、理不尽に感じられてきた慣習のようなものに明確に一石を投じる要請だったように感じています。

例えば…私が子どもの頃でさえ、鉛筆が合う子もいれば、シャープペンシルが合う子もいたわけですし…ノートの罫線が合わない子もいたわけです。今とは時代が違うと言ってしまえばそれまでかもしれませんが…問答無用で”シャーペン禁止”みたいな謎ルールがあったりしたわけです。

あれは一体、誰を守るためのルールだったのでしょうか?

ICT活用を語るとき、端末が“特別な機械”として扱われると、途端に話が歪みます。

しかし「文房具」だと整理すると(少なくとも津山市教育委員会では実際には議場での答弁としてそのように整理されているはず)、学びにアクセスできるか、表現できるか、参加できるかという“アクセシビリティ”の話になるわけです。第3部の講演の中で最も印象的なフレーズとしてメモした、今回の学びの核の一つがこれ。

「個別最適化とはアクセシビリティを変えること」

これは議会でも使える整理だと思っています。「同じことを同じ形でやる」ことが公平ではなく、「同じように学びにアクセスできる状態を作る」ことこそが公平…なのだと考えます。少し話が逸れてしまいましたが、北小学校の取り組みはまた改めてお話を伺いたいなと強く思える内容でした。

第2部(14:35〜15:00)情報共有
点が面にしていくために、“支える側”が必要って話

第2部は各地域・各校園等での「インクルーシブ教育×ICT活用」情報共有ということで、数人のグループを作っての意見交換的タイム。短い時間ながら、県内で点々と進んでいたものが、面として繋がっていくのかもしれないなという感覚、期待感はありました。

ただやっぱり、現場の先生の頑張りだけでは続かないと思っちゃうわけです。

教育委員会の方、管理職の先生、支援学校の先生というバラエティに富んだ構成の中に加えていただけていたこともあり、行政と現場が、運用と支援で協働して初めて制度が機能発揮し持続可能になるのだということを再認識できた気がします。具体的な課題も幾つか提起され、津山市の状況改善に役立てられそうなアイデアを思いつくための良いキッカケをいただけました。

第3部(15:00〜16:25)指導講評・講演
島根県立大学・水内先生の話は、ICTの話なのに“人間の話”だった

講師は島根県立大学の人間文化学部准教授である水内豊和先生。岡山にゆかりのある講師のお話は、 語弊を恐れず一言で表現すると。

ICTの話なのにICTが主役じゃなく、主役は子どもと、子が学べる環境設計の話でした。

子どもファーストでICT環境を組み直せという、強いメッセージが込められていたように理解しています。

先生が教えやすい形に子どもを寄せるのではなく、子どもが学べる形に環境を寄せる…ICTはそのための道具であって、目的じゃないという趣旨の話には激しく頷けるところが多々ありました。

端末を配った、導入した、アプリが入った…それだけでは“文房具”にならないわけで、日常の中で自然に使えるか、必要な子が必要な時に使えているかという点は運用の勝負所です。メタバースやオンラインでの居場所の話にも触れつつ、水内先生の姿勢は冷静でした。実名縛りやアバターの要件で逆にハードルが上がるケースも散見されることにも触れられ、新しい技術を入れること自体には価値はないという警鐘も含まれていたと思います。

ノーメディアデー的な試みは、ちゃんちゃらおかしいと断じられた際には吹き出しました。

ICTの議論は「使わせない方向」にいくと、だいたい乱暴になります。

お話の後半戦は“未来”について…作業学習している仕事がなくなるかもしれない、新しい働き方を考えるべしという視点についての話や、「誰かの役に立っている」という実感を得るためのツールにもなり得るICTだが、最終的に人間を支えるのは人との関わりだというお話は示唆深いものでした。人間の仕事として、賞賛・批判・価値観の形成が語られていたことも印象的でした。

最後の最後には、ダウン症の子がAIを用いての作ったという、お父さんへの誕生日おめでとうの歌
で唐突に泣かせにこられてまたしても号泣しそうになりました。若かりし日には作詞作曲を生業にしようと頑張っていたような遊んでいただけのような黒歴史もある私からすると、正直色々な意味で反則だべと感じてしまうところもありますが…でも、その反則があるから「ICT活用」は“機械の話”で終わらないわけです。

ICTで何ができるかではなく…ICTを通じて「その子の表現が成立し」「関係性が生まれる」ことこそが本質なんじゃないでしょうか。

まとめ:津山で詰めるべき論点が、山ほど手に入った

今回のフォーラムで持ち帰ることができたことは少なくありませんが、結局のところ以下のようなポイントに集約されるなと思っています。

・津山市として、現場の実践をどう支えるのか(先生の頑張り頼みで終わらせない)
・端末は本当に“文房具”になっているのか
・個別最適化を「端末配布」に矮小化せず、アクセシビリティとして整理できるか
・小→中で途切れない設計になっているか

現場の実践は前に進んでいるからこそ、行政と議会が「運用の背骨」を作らなければいけないと、改めて感じたクリスマスでした。

長くなりましたが、本日はこんなところで。また明日!

三浦 ひらく

三浦 ひらく -PROFILE-

世界を暮らしやすく楽しく変えるため、相棒ひらくマと一歩ずつでも現状改善していくために日夜ハゲむ、1978年生まれの岡山県津山市議会議員。選択肢の多い社会を目指し、政治も手段の一つと捉え、地域振興、多様性理解促進、生きづらさ解消、表現の自由を守るための活動、インフルエンザ脳症撲滅、臓器移植意思表示推奨などをライフワークとして活動している。