未来拓く、みうらひらくです。
津山市議会議員、三浦ひらくです。
美作大学の公立化について、またまた議論を重ねてきました!
…つっても、議論をなさっていたのは有識者会議のメンバーの皆さまです。標題の通り、美作大学の公立化に関する有識者検討会議の第3回が開かれました。もちろんアタシャ単なる傍聴者の一人でありましたので何の発言もできないわけですが…色々と思うところはありました。
今日は議会の質問戦準備などの用事もあったので早めに市役所に登庁して、10時の会議に最初から傍聴に入らせていただいたのですが、12時過ぎまで2時間超の濃密な内容でした。今日もかなり多くの皆さまが傍聴に入られていたし、報道陣も多かった印象で…皆さまの関心の高さを物語っていました。傍聴定員の30人近くはおられたのではないかなって気がしています。本日は質問戦の準備など、宿題が山盛りなので…以下に簡潔に内容をまとめておきます。
市民の皆さまの関心も非常に高いこのテーマ。
私も常任委員会そして、この件に特化して調査研究を進めている特別委員会では委員長として真剣に向き合ってきているわけですが、今回もなかなか濃い内容でしたので、ブログでも整理しておきます。会議での議論は非常にボリューミーな内容でしたので端的にまとめるとどうしても漏れも出ます。あくまでも参考程度にというまとめにはなりますが、私自身の中での消化や備忘録のためといった側面が強いエントリーになりますので、ご容赦ください。
会議で使用された資料は、全て公開してくださっています。
リンク先の津山市公式サイトのページ下部の方をご確認ください。ちなみに第1回、第2回共にかなり詳細な会議録を議事要旨という形で公開いただいており、今回も作成いただいた後に公開してくださる予定になっています。それぞれクリックorタップいただくとPDFファイルが開きますので、興味のある方はご確認ください。
進学ニーズと学部のミスマッチ?
今回の会議はまず、前回の会議で出された意見等への対応からスタートしました。改めて示された調査結果によれば、男子は理系志向(工学・情報・医療など)、女子は看護・福祉系に人気が集まっているなど、ジェンダーバイアスを感じるような傾向も現れていました。経済・経営・教育・人文系には根強い需要がある点などは、美作大学が持っている学部とも親和性がある部分かなとも感じましたが、アンケートの取り方というよりは結果の示し方自体に、個人的には首を傾げてしまう点もあったので、然るべきタイミングで質していきたいと思っています。
一方で、市外の受験生と市内の受験生、そして保護者の間で「大学への評価」などが大きく違う傾向も見えました。アンケートは多岐に渡りますし、詳しくは資料をご確認いただいた上で、皆さまにご判断いただきたいと願いますが、市外の皆さまの方が美作大学への「知名度・ブランド力」を高く評価していた点、逆に市内生はそこに魅力をあまり感じていない点などは興味深かったです。
要は、広報や体験機会で埋められるギャップがあるってことなのかな、と思います。
地域経済効果は単純には語れない
地域経済に与える影響として、学生の年間消費はおよそ9億円と示されました。正直言って、実態を反映した数字であるか否かという点で数字には疑義を覚えていますが…住居・食費・交通・娯楽…津山の経済を潤す存在であることは間違いないところです。加えて、アルバイトで地域の人手不足を支えている役割の大きさや、教職員の皆さまが納めてくださっている市民税は約1千万円、関係者の人口増加により普通交付税が5,000万円ほど増えている効果についても言及がありました。
…ですが!
会の中では「産業連関表を用いた波及効果を試算しなければ、実態を語れない」との指摘が上がりました。示されたような一次的な波及効果だけでは、現状を正確に分析するには足りていないという内容でした。小難しいことをここで書くつもりはありませんが…域内調達率や漏出率などによって経済効果は大きく変わります。数字遊びではなく、しっかり根拠を固める必要があることや、拙速な審査がリスクを孕んでいることが明確に示されたと感じました。
附属幼稚園は大学に不可欠?
津山市全体の幼稚園定員充足率は約50%前後と大変に厳しい状況が続いています。そしてその状況は短期的には間違いなく、今後もさらに難しいものになっていくでしょう。美作大学附属幼稚園も例外ではないわけです。しかし大学にとっては、教育学部の実習や研究の場として不可欠であり、近接しているからこそできる連携は大きな価値であることも再確認されました。言われていることはごもっともだと感じながらも、得心がいかない部分が残ったのも事実で、同僚議員からも同様の声が聞かれました。
公立化すれば短期的には経営が安定することも確実視されていますが、児童数が減り続けることによる財政負担は市にとっても将来の大きな課題となることが明白でもあります。
「大学教育と不可分な役割をどうKPIで可視化するか」が問われていると感じます。単なる保育施設・幼児教育施設であれば、市内の代替施設にその役割を委譲していく方向性も考えられるでしょうし…“大学教育の一部”としてどう説明できるかが、今後のポイントになりそうだなと思っています。
シミュレーション対決!公立化 vs 私学継続
財務シミュレーションも議論の中心でした。
私学で継続していく場合、入学者数は減少していくことが確実に見込まれるわけですから、収入は減るにもかかわらず固定費が重くのしかかっていき赤字累積は避けられない…という非常に厳しいシナリオになります。さらに、今回の資料の中では固定費を正しく入れていないと思えるような試算も示されており、実際はさらに厳しくなるのではないかと指摘されていました。
また公立化した場合、過去のケースなどからも志願者増が期待でき、仮に授業料の引き下げなどが実現できれば、交付税措置もあるため当面は黒字化が可能だと考えられること。かなり甘い見方もあるようには感じましたが…さまざまなパターンを想定し、20年累積で大きな黒字が出るような試算も出ていました。色々な意味で、希望がないわけではないのは確かです。
ただし問題も、もちろんあります。
例えば、触れられたのは設備更新費用。20年で18億円、40年スパンでは最大140億円が必要との試算が出ており、資金調達をどうするか(積立・起債・寄附・企業連携)は大きな課題だと結論づけられていました。
前提条件の甘さも課題
ここで敢えてグダグダと書き連ねることは控えますが…資料をご覧いただければ、それぞれに思うところがあるかなとも思います。条件設定次第では結果が大きくブレるため、公平な比較のやり直しを求める声もありましたし、市としても再検討の必要性を感じられた点があったのではないかと思います。
会議の結論は結局、次回へ持ち越し!
委員の方からも、特に会の最後の方には厳しい声が相次いだ印象です。「比較が粗すぎる」「前提条件を揃えて再試算すべき」など、厳しいコメントが飛び交っていました。結論を出すにはまだ材料不足だと感じたのは私だけではないはずです。
次回以降に向けて、以下のような項目はある意味で宿題になったのかなと思っています。
・産業連関表を用いた経済波及効果の再試算
・固定費・変動費を切り分けて、同じ条件で比較
・設備更新ロードマップ(20年・40年)の明確化
・志願者数の根拠を、広報や学部改革も織り込んで精緻化
・附属幼稚園の機能をKPIで定義
公立化は単に「収支をトントンにすれば良い話」ではなく、教育の未来・地域経済・少子化対策まで絡む大テーマです。議員の立場でも、主体的に議論をしていきます。
本日はこんなところで。それでは、また明日!