未来拓く、みうらひらくです。
津山市議会議員、三浦ひらくです。
本日、来年2月に開催される津山市長選挙への出馬表明がありました。
出馬を表明されたのは、かねてより市長候補として名前が上がり続けていた元津山市職員の玉置晃隆さん。昨年度退職される直前までは津山市の議会事務局長を務めておられたこともあり、私自身も何度もお話させていただいたことがある方です。Yahoo!ニュースにもなっていたので、多くの方がご覧になったのではないでしょうか。
9月議会定例会の質問戦が始まる来週には、現職である谷口圭三市長の3期目の出馬表明も確実視される中で…お二人の他にも「立候補準備を進めている方がいる」という話も真偽の程はわかりませんが聞こえてきますし、単に名前を聞くという意味ではさらに多くの”出馬しうる人”がおられるようです。
つまり来年の津山市長選挙は、複数候補によるガチンコ勝負になる可能性が極めて高い情勢。

「誰が“最高”か」ではなく、「誰が“よりマシ(=よりベター)”か」を現実的に選び取るのが選挙です。
もちろん…この人が最高だと思えるような候補者、心から推せる人がいれば全力で応援すれば良いだけですが…実際にはなかなか自分自身の思いをそのまま実現してくれて、何もかも同じように考えてくれる候補者などいないものです。その一方で、「今のままが良い」と思ってようとも、「今のままではいけない」と考えていようとも、どちらの立場であっても投票という行為でみずからの意思を静かに表現すべきだと考えます。
有権者全員に開かれたアクションであり、国民の権利です。
自分自身が望むような方向性の社会実現のためには、投票による意思表示をすべきだと言えるでしょう。そしてこの際なので、多くの選挙の中でも、“市長選挙(首長選挙)”が超重要である理由を確認していきましょう。

言葉が聞いたことがある方も多いでしょうが…地方自治は“二元代表制”です。
市長(執行権)と議会(議決権)が、ともに住民による直接選挙で選ばれ、相互に抑制と均衡を働かせながら自治体を運営する仕組みです。
しばしばこの関係性は”車の両輪”と表現されます。適切な距離、同じくらいの影響力を持って作用することが望ましく、両者がべったり一体化してしまうことは制度趣旨に鑑みてもあってはなりません。緊張感と協力のバランスを保つことが健全とされているわけです。また議会との関係において、津山市議会では議会全体(25人)と対峙するのが首長1人です。細かいことを言えば教育長等はその限りではないと言えると思いますが…法の上でも、職員の皆さまは市長の補助をする立場。言い方を変えれば、市長1人には市議会25人とほぼ同じくらいの力があるとも言えるのです。
だからこそ、市長選挙は津山市の未来を大きく左右する重要な機会。選挙は市政への意思表示ができる、数少ない「市民の直接的な力の行使」です。
市長の権限は想像以上に強いものなのです。
条例提案や予算編成の主導、人事(副市長・教育長等の任命には議会同意を要しますが、提案・指名は首長側)、組織改編、公共施設の設置・廃止、行政財産の取得・管理・処分、危機管理・災害対応など、市長の舵取りの影響は市民生活の隅々にまで及ぶものです。
だからこそ「誰が舵を握るか」で市政のスピードと方向が変わる…これこそが市長(首長)選挙の重みです。

一般論として、他の自治体の首長選挙などの際に…私自身が以下のようなポイントをチェックしますって点をまとめて書き出してみますね。推しがいない皆さまにも、“比較の物差し”としてご参考まで…ちょっと専門的な用語も入っているけど、まぁ色々な意味があって書いていることなので、ご容赦ください。
このあたり、しっかりと争点になるような選挙になれば良いなと思います!
①課題設定力と優先順位
自治体のボトルネック(主となる障害)は何で、まず何から着手するのか。やりたいこと“全部”ではなく“最初の3つ程度”を明確に答えられるか。
②財源設計
新規事業の原資は?既存事業の何をやめるor縮小するのか?地方交付税・起債・基金・受益者負担・PPP/PFI等の使い分けは現実的なものか。
③KPIと検証ループ
現実的・効果的なな数値目標(KPI)と期限、測り方が考えられているか。失敗時のリカバリー(中止・縮小・軌道修正)の基準を前もって公言できるか。
④人事と組織運営
副市長と教育長人事の考え方(専門性以外にも、積極性や意外性などから姿勢が伝わるし、民間登用やジェンダーバランス等の思いも表現され得る)、部局横断の推進体制、外部人材活用の設計があるか。
⑤教育・医療・福祉・防災等の“土台投資”
学校・子育て・高齢者支援・地域医療・救急・防災や減災などの極めて重要な施策について、見栄えの良い新規事業よりも先に、既存事業を見直した上で堅実に底上げする姿勢があるか。
⑥産業・観光・関係人口創出・文化芸術振興
既存産業の生産性向上、人手不足対策、スタートアップ支援、観光の稼ぐチカラの強化、関係人口創出のためのシティプロモーション、文化財保護や芸術振興などへの公共の関わり方についてなど、プランはあるか。
⑦DX・情報公開・住民参画
行政のデジタル化、オープンデータ、諸々の議論の過程の可視化、市民参加(審議会・公募委員・若者参画)を“仕組みで”回す意思があるか。
⑧広域連携など
国や県との連携はもとより、津山圏域、県北部全体や近隣市町村との連携(医療・交通・消防・観光・教育等の多岐にわたる方面において)で、津山だけで完結しない課題にどう挑むかの青写真を描けるか。
…キリがないから、このくらいにしておくか。

いわゆる公約は、それが実現可能でなければ絵に描いた餅です。
“言い切り”の裏側に法令上の制約はないのか、他機関の所管事項が含まれていないか、議会同意が必要な人事や予算であることや達成条件の説明があるかなど、精査すべきポイントは幾らでもあります。
と言うか…その辺りを誤解なく伝えられないようでは、市民に誠実であるとは言えないでしょう。
何であれ、多くの事業には“カネが要る”わけです。初期費用だけでなく、維持管理費や人件費、更新費を積んでいるか、物価上昇などがある程度視野に入っているのか?
イベントなどは実施そのものが目的になっていないか…地域に経済効果を残す設計(域内発注・再投資・雇用創出)ができているのか?
即効性と持続性が両立された考え方ができているのか?
思うような成果が得られなかった際に、データにより判断し見直すと決めているのか?
結果に責任を持つ姿勢が見えるか…などなど、私たちがチェックすべきポイントには、実は限りがないと思っています。とは言え、それをいちいち市民の皆さまに精査いただくわけにはいかないのも現実です。だからこそ、議員が果たすべき役割も重要だと思います。

そして投票は“最強の市民参加アクション”です。
市長をはじめとした行政執行部と、議会議員との関係性は“べったり一体化”のような蜜月関係であっても“アクセルとブレーキの押し合い”のような敵対関係であっても危険です。自治体の未来をより良くしていくことという共通の目的に向かっているわけですから、健全なのは本来、対立ではなく緊張感ある協働ができる関係でしょう。議会はチェックと提案、行政は執行と説明責任。両者がそれぞれの役割を果たし、選挙という市民の皆さまによる審判で方向修正し続けること自体が暴走や不正への抑止力なのです。
だから私はイデオロギーより成果、スローガンより実装そして検証の視点で、候補者の政策と運営力をフラットに見ていきます。
来年2月の津山市長選挙、あえて言い切りますが主役は候補者ではないのです。別の種類ではありますが、選挙を経て公職に就かせていただいている身として、スケールの違う選挙に挑まれる皆さまには、その挑戦意思が本物である以上は敬意を持っているところです。
それでも大事なのは、市民一人ひとりの意思。

「誰が最もマシか」を妥協で選ぶのではなく…「今の津山に必要な航路を最も現実的かつ魅力的に描けるのは誰か」で選べるように。
次の4年の舵取り役を決める戦いの今後を、私も市議会議員の一人であると同時に市民の一人として、丁寧に見て、判断していきます。
本日はこんなところで。それでは、また明日!