公立化に向けた信号は何色か?第4回美作大学の公立化に関する有識者検討会議、理想と妄想と現実の間にて。

未来拓く、みうらひらくです。
津山市議会議員、三浦ひらくです。

日付けとしては10月2日、一昨日の木曜日の話になりますが…傍聴に入らせていただいた第4回目の美作大学公立化検討有識者会議の議論を、まとめておきます。過去3回の会議同様に傍聴に入らせていただきましたが…正直スケジュールから漏らしていて、危なく傍聴予定を忘れるところでした。話を振ってくださった職員さんのおかげで何とか出席できことに感謝です!

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ざっくりと、ポイントを先に。

私立のまま:キャッシュも積み上がらず、将来の施設更新のタネ銭が作れない。経営は超厳しい見通し。
公立化して効率化:定員充足“100%”を維持するのが生命線。ここが崩れるとハッキリ言って赤信号。
施設のお金:計画的改修や解体で20年に約18億円。将来建替を仮置きすると約140億円。
新学設置場合の費用(入学80人/年=収容320人想定):工学部30.4億円、情報データサイエンス20.2億円、看護30.7億円。年間の経常収支は各学部とも黒字見込みだが、初期投資の回収&将来積立は“別腹”で必要。
地域人材のカギ:入試制度・地域枠・奨学金・IJUターン支援などを“総動員”すべき。ただ周知不足&手続きが煩雑になると使われない懸念。

この日も多岐にわたる話し合いがなされました。ちなみに今まで同様に第4回の会議資料は全てネット公開されており、32枚に及ぶ第3回の会議の詳しい議事要旨(PDFファイル)も公開されています。第4回分も最終回となるの第5回の会議までには公開されると思います。

何が話されたのか?

会議の流れをサクッと振り返っておきます。

お金のリアル、私立存続 vs 公立化

前回の指摘を反映し、固定費/変動費の区分や物価・人件費の上振れを織り込んで再試算。私立のままでは損益もキャッシュフローも、じわじわと厳しくなっていくイメージ。更新資金が積めない見込みであることが致命的と言えるでしょう。公立化することで、定員充足率が100%〜87.5%なら20年間は概ね横ばい〜黒字圏だとの話でしたが、様々なツッコミもなされていましたし甘い印象は拭えませんでした。

施設更新と積立の問題、試算

改修・解体で20年18億円。全施設の更新には約140億円が掛かるという見通し。適切な維持管理で向こう10年は使えるものの、その先の更新に向け計画的積立が必須。委員から示された「50年スパンで考えると140億円=年2.8億円の積立目安」という現実的な数字が、逆に非現実的に感じられる皮肉な展開でした。黒字年を“貯める年”にできるかが勝負かもしれませんが…まぁ難しい印象です。

新学部は段階導入?

初期投資は情報系が比較的軽量。看護は教員確保が難題。工学は装置費が重たい。色んな意味で、ここで論じる話でもないという印象が強かったです。いずれも運営上は少なくない黒字が見込めるが、初期投資の資金調達と積立ルールを考えてみても、極めて非現実的な話にしか思えず。国の理系整備補助や特例債などの活用余地はあるものの、採択競争は厳しいのが現実で、生産性のある話になるとも思えず。

入試や学費は甘口辛口のブレンド案

公立化後、地域内出身の“割合”は下がりがちというデータを受けての議論が闊達になされ、推薦入試などで特例的な地域枠を設けることががほぼ通例になっている事実も共有されました。一般入試などでも地域枠ありの大学が一部あることや、入学金は地域内<地域外が一般的であることからも、ほぼ全ての委員の発言から地域の皆さまに特化した配慮が必要だろうという論調が感じられました。ただこれは大学収入に直結する話で、学生確保と財源確保の両立設計という難問への一つの解答を示すことが必要です。

地域就職・定着を目指す仕組み

1年次からのキャリア教育、学生インターン義務化、域内パートナー企業100社超など、様々な先行事例が共有され、自治体側の就活交通費助成、引越支援、奨学金返還支援などの効果も確認されました。ただし周知の重要性と申請のしやすさが肝要であることにも言及あり。

地域連携の重要性

大学の資源を“見える化”して一元管理、地域へアウトリーチする「地域共創センター」構想による、地域課題×資源のマッチング、地域志向の教育研究、産学官金連携&スタートアップ育成、人材育成・IJUターンへのサポート、交流拠点の創出、政策提言など…そりゃ、そんなの出来たら良いでしょうよ的な話がなされましたが…実現、そして運営には専任の特任教員・コーディネーター等の常設体制が前提ですし、まぁ失礼ながら現時点では妄想と言ってしまっても良い話ではないかなと感じました。

実際にこうした要請に応えていくためには、やはり津山市単体ではどうしようもない…近隣自治体、そして個人的には岡山県の積極的な協力が必要不可欠であると、現時点では個人的に考えています。

最終回となる第5回目の会議での次のステップとして…事務局から最終報告書案が事前送付され、次回、取りまとめるとの話もありました。新しいデータを積むというより、これまでの議論と数字を“読みやすく並べる方針のようです。

しかもどうやら、公立化に賛成とも反対とも意見表明したりしない内容になるみたい。

一体何のために、多くの金額を費やして調査して会議をしてきたのかって話になるんじゃないのってことで、傍聴席がざわつきかけましたが…ここからが本番だというところなのでしょうか。「持続可能な更新」×「地域に効く教育研究」の二兎を追う設計に対しては、議会でも特別委員会を設置しているわけですし…引き続き、エビデンス推しで議論していこうと思っています。信頼のおける数字ベースでの議論が成熟すれば、おのずから未来に示すべき結論への道筋も拓けるはず。最前線での議論内容を、今後も伝えていきます。

本日は色々と微妙なアイキャッチ画像でして…ひらくマはハゲ散らかしているのかモヒカンなのかわからないし…謎な議員っぽいおじさん(まさか俺か?)で建物も大学とは全然被らないけど…作り直すの面倒なので採用。

本日はこんなところで。それでは、また明日!

三浦 ひらく

三浦 ひらく -PROFILE-

世界を暮らしやすく楽しく変えるため、相棒ひらくマと一歩ずつでも現状改善していくために日夜ハゲむ、1978年生まれの岡山県津山市議会議員。選択肢の多い社会を目指し、政治も手段の一つと捉え、地域振興、多様性理解促進、生きづらさ解消、表現の自由を守るための活動、インフルエンザ脳症撲滅、臓器移植意思表示推奨などをライフワークとして活動している。