本当に今必要な議論は何か?6月議会閉会日、内容に共感しつつ2件の請願に反対討論した理由と結果を確認!

未来拓く、みうらひらくです。
津山市議会議員、三浦ひらくです。

本日、津山市議会6月定例会は閉会しました。

議員として最も重要な役割の一つである”採決”が行われたのですが、それに先立ち、私は今議会で総務部参与委員会に付託された2件の請願に対しての反対討論を行いました。対象となったのは、以下の2件です。

請願第1号:少人数学級の拡充および教職員定数改善を求める意見書の提出を国に求めるもの

請願第2号:学校給食の無償化を国に求める意見書の提出に関するもの

どちらの請願も、子どもたちに寄り添う内容であり、請願の趣旨そのものには大いに共感しているところです。私自身も一般質問等で、同様の課題について繰り返し取り上げてきているという経緯もあります。周囲の皆さまからも賛成・反対様々な声がある中で、それでも今回は、悩むことなく反対させていただいた次第です。

なぜ反対したのか?

その理由を、政策的・戦略的な観点と、津山市議会議員としての責任という二つの軸で、丁寧に説明させていただきました。

請願第1号:少人数学級と教職員定数改善について

この請願には2つの明確な反対理由があります。

①すでに国において具体的な対応が進行中である
ご存じの方も多いと思いますが、小学校における35人学級はすでに制度化されており、さらに中学校でも、令和8年度から35人学級が実施される予定です。これは地元ゆかりの衆議委員議員である加藤勝信財務大臣と阿部俊子文科大臣によって合意済みの政策でもあります。

このように、国がすでに動いているにも関わらず、あえて今、津山市議会が意見書を出す意味はどこにあるのか?

私は疑問を感じざるを得ません。

全国の知事会や市長会、議長会や教育長協議会など、各団体も既に継続的に要請を行っており、重層的な提言体制が整っている状況です。国会・文科省・中教審などにおける議論も進んでおり、今ここで改めて津山市単独で意見書を出す意義は、極めて薄いと判断しています。

② 津山市の現状改善のための“最も有効な働きかけ”とは言えない
請願趣旨にあるように、いじめ・不登校・ヤングケアラー等、子どもを取り巻く課題は複雑化し、現場の教職員不足も深刻です。しかしそれゆえに、我々がまず注力すべきは“国へのお願い”ではなく、津山市独自の対応を具体化することではないでしょうか?

実態に即した支援体制の構築や、自治体レベルでの工夫こそが求められている今…意見書提出が、具体的な課題解決に直結するとは思えないということです。

請願第2号:学校給食の無償化について

こちらも、国における政策審議がすでに進んでいることが、第一の反対理由です。

文科省の調査によれば、全国の教育委員会のうち大半が既に無償化を実施・検討中であることが示されています。さらに、2024年通常国会では”給食費の無償化法案”が審議されており、今年2025年の国会では、自民党、公明党、日本維新の会の間で合意がなされ、石破首相も、まずは小学校を念頭に地方の実情等を踏まえ令和8年、要は来年度以降にできる限り早く制度化を実現するとの考えを述べられており、政策は確実に前進中と言える段階にあるのです。

第二に、地方議会単体の意見書が与える影響は限定的だという事実があります。全国で多数の自治体がすでに同様の要望を上げている中、今このタイミングで津山市が単独で意見書を出すことで、国政が動く可能性は極めて低いと言えます。また津山市の場合、給食費全額無償化を仮に市単独で実施すれば、年間約4億円の財源確保が必要です。国・県が補助したとしても、我々の税金による支出であることに変わりがないという視点も失ってはなりません。

より公平で、効果的な支援のあり方を議論する必要があるのではないか?

それが私の基本的な立場です。

確かに地方議会の役割の一つに、住民の声を国政に届けることは含まれるでしょう。意見書提出という制度は、地方自治法99条に基づいた正当な手段であり、その意義は決して否定しません。しかし、「出すこと自体に意味がある」「損はないからいいじゃないか」というような考え方が、結果として政治の空洞化やパフォーマンス化を招くのではないかという懸念を強く持っています。

意見書提出は“手段”であって、“目的”ではないはずです。

今まさに支援が必要な方々に寄り添うために、私たちが使うべきは“意見書”ではなく、“議会の時間と力”そのものなのです。

そうした思いを込めて、反対理由をゆっくりと丁寧に説明したつもりですので、是非ご覧ください!

本当に今、私たちが向き合うべき課題は何でしょうか?

少人数学級も、教職員定数の改善も、給食の無償化も、それぞれ待ったなしで改善に取り組んでいかねばならない大切なテーマです。ただし国の議論と重なる内容であるならば、地方議会としてはむしろ、津山市ならではの実効性ある政策を考えることに時間を使うべきだと、私は考えています。

請願そのものを否定するわけではありません。ただタイミングと手法の選び方を誤れば、それは“仕事をしたフリ”で終わってしまう。それでは、本当に困っている市民の皆さまの期待を裏切ることにもなりかねないのです。

採決にあたっては、同僚議員の皆さまに対して冷静に、そして胸を張れる判断をしていただけるよう、お願いさせていただきました。上の動画では私の発言だけでなく、丸尾議員による賛成討論もご確認いただけます。両方通して是非ご視聴いただき、対照的な立場を通じて、皆さまご自身のご意見をお持ちいただければ幸いです。

丸尾議員も私も、その他の23人の議員も、そして読者の皆さまも…津山市がより良くなれば良いなと、全員が思っているはずです。それぞれの考え方や感じ方があり、アプローチにも違いはあろうとも、共通の目的に向かっているはずなのです。肯定的な意見はもちろん嬉しいですが、批判的なもの、どちらでもないという声…どのようなご意見も大歓迎いたしますので、是非ご意見・ご感想等お寄せください!

いつも言っているように…何ごとも白か黒かだけではありません。

ただ、採決の際には賛成か反対のいずれかの判断をくだし、態度表明することが、議席を預かる者の責任だと考えています。

採決の際に議場から退出するという意思表示の方法もありますが、たとえ50対50に思われるようなテーマでも、どうにか51対49だと決断できるような材料を見つけることも、私たちの責務だと思うのです。

さて…2人の討論の結果、2つの請願はどうなったのか?

議員個々の判断も、動画で確認することができますが…見られない人もおられると思いますので、最後に結果を共有しておきます。議長は採決に加わらず、12番の政岡哲弘議員は欠席です。

請願第1号

請願第2号

う〜ん…それぞれにお考えがありますからな!

本日はこんなところで。それではまた明日!

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三浦 ひらく

三浦 ひらく -PROFILE-

世界を暮らしやすく楽しく変えるため、相棒ひらくマと一歩ずつでも現状改善していくために日夜ハゲむ、1978年生まれの岡山県津山市議会議員。選択肢の多い社会を目指し、政治も手段の一つと捉え、地域振興、多様性理解促進、生きづらさ解消、表現の自由を守るための活動、インフルエンザ脳症撲滅、臓器移植意思表示推奨などをライフワークとして活動している。

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