未来拓く、みうらひらくです。
津山市議会議員、三浦ひらくです。
時間が取れれば傍聴に入りたいなと思っていた議会活性化調査特別委員会が本日開催されたものの、オンラインでの勉強会が入ったために参加できずじまいでした。ただ結局はその勉強会にも、急を要する市民相談案件などが重なって飛び込んできたため…参加できずに終わってしまいました。
そんな感じで今日は思った通りのスケジュール運びはできなかったけど…自分自身で優先順位を考えた上で、みずからの責任において臨機応変に対応できるのは、この仕事をさせていただいている大きなメリットの一つだとも感じています。

勉強会の内容は、関係各位がzoomでのアーカイブ対応をとってくれたおかげで、夜中に確認することができました。津山市そして津山市議会での会議などでもオンラインを活用した同様の対応がとれたなら、わざわざ参集する必要もないし、傍聴のハードルも下がり、良いことづくめのような気がしますが…現実は、タブレット端末を導入してから4年以上が経過していますが…一向にオンライン対応を進められていないと言える状況なのは歯痒いところ。未だに十分に使えるとは言い難い同僚議員も少なくはないのではないかとも感じています。
議員として活動させていただくようになって7年目にして、私自身はついに議会改革度調査特別委員会の委員ではなくなりましたが…会派の仲間が入ってくれている(現在は田口議員が委員)わけですから、デジタル技術や機器の活用による業務効率化という視点は失わず、思いを反映できるように今後も努めていきますし、別のアプローチでも進められることがあるとは思っています。
オンライン勉強会は、当ブログでも何度も紹介させてきていただいている子どもの事故予防地方議員連盟の企画でした。【親と子の“育ち”が誤嚥事故を防ぐ〜事故予防の視点から見直す、乳幼児期の発達・離乳食・母子保健支援〜】というタイトルで、ママと子どもの育ちラボにじのわの代表、経験豊富な作業療法士、発達分析のプロフェッショナルでもある森田綾さんを講師に迎え、実施されました。
リアルタイム受講していないので、自身へのインプットの意味も込めて…資料は議連外には共有できないのですが、ザックリと内容をまとめておきます。

テーマを一言で表現すると、「離乳食期の子どもの事故予防」と言える内容だったかと思います。一見、自治体議員が関わるには専門的すぎるようにも思えるかもしれませんが…それは大きな勘違いです。離乳食事故が”防げる事故”である可能性が極めて高いからこそ…それを防ぐ責任があるのは大人(子ども自身で防ぐことは事実上不可能)、そして地方自治体、つまり社会全体の役割なのですから。
子どもの事故防止という観点において、注意喚起だけでなく”環境改善”や”予防のための教育”が社会全体で必要とされていることや、特に乳幼児期の離乳食をめぐる窒息事故や誤嚥事故については、実態が見えにくいにもかかわらず、深刻な結果を招きうる傾向があるという現状の問題意識の共有に始まり…森田さんは、発達支援と子育て支援の現場での経験から、「子どもの身体的・発達的な準備が整わないまま、食の進行が進んでいる」ことが事故の一因となっているという見解を述べられていました。事故は単なる偶然や保育士の落ち度で片付けられる話ではなく、社会全体の支援のあり方が問われているということだと理解しました。
東京消防庁の管轄内で確認されているだけでも、5年間で5,285人…つまり東京都だけで年平均で1,000人以上の5歳以下児童が窒息・誤嚥などで救急搬送されているとのことでした。よく言われることですが、実際には、報告されていないヒヤリハット事例(「ヒヤリ」としたり、「ハッ」としたりするような経験のことで、重大な事故には至らなかったものの、もう少しで取り返しのつかない事態が起こりそうになった、危ない状況や出来事を指す)が膨大に存在(1事故につきヒヤリハットは300件〜1,000件とも!)していることも推察されます。多くの保護者が”自分の責任”だと感じ、体験を口外しない傾向が強いこともこうした傾向を生む一因でしょう。

実際に起きてしまった悲しい事故事例を参考に、食材・食形態の不適合や誰が見守るかの課題、子どもの身体的準備が不十分なまま進む離乳食についてなど、問題を浮き彫りにされ…食材をリスト化して丸いものや粘性の高いもの等を除去すること、食形態を調整したり、月齢の見直し(遅らせる傾向)を図ること、緊急対応を含めた職員間の情報共有を進めることなどの現在津山市を含めた多くの自治体で実施されている主な対策について説明いただきましたが…こうした取り組みには限界があることにも言及がありました。
外的な管理(環境・食材・マニュアル)に偏っており、子どもの”内的準備”への視点が不足していること、発達支援視点(呼吸・姿勢・口腔・コミュニケーション等)との橋渡しが不在であること、発達支援マニュアルが整備されていないことなどが問題点として挙げられたのです。保育環境、家庭環境は子どもの数だけあり…全体的な傾向もまた、社会の情勢とともに大きく移り変わってきているわけです。お話の中には、そうした子どもを取り巻く変化に、保護者や保育士でさえ、対応しきれていない現状があるのではないかという警鐘もあったように感じました。
一言で言えば、赤ちゃんファーストになっていないという指摘でした。
我が家の息子はもう赤ちゃんと言える年齢ではないわけですが…保護者のニーズ(自分の時間・効率・便利さ)が優先される傾向にあり、”親の都合”を重視する商品などが利用されているケースも少なくないという話には、正直言って耳が痛い部分もありました。

今回の研修では、実際にバナナやヨーグルトを使って食べ方を体験するという…なかなか衝撃的で興味深い内容がありました。
食べ方ひとつで“おいしさ”だけでなく“安全性”も変わるわけです。
スプーンにたっぷり盛って、舌の奥に押し込んで食べてみると実感できますが…普通に苦しいです。「はい、あーん!」なんて声掛けでやってしまいがちですが、赤ちゃんにとっては地獄の入り口かもしれないってこと。
発達に寄り添う支援こそが、事故を防ぐわけです。
離乳食の事故は、単に”見ていなかったから”という理由で起きるとは限らないわけです。子どもたちの”体の準備”が整う前に、親の都合や制度の都合で無理を強いてしまうことで、リスクが高まってしまうことを、私たち大人は知っておかねばなりません。この点、何度も切り口を変えて津山市議会でも質し続けてきていますが…重要なことだからこそ、言い続けねばなりません。
食べる力を支えることが、命を守ることに繋がるのです。

では、その“食べる力”を育てるのは、いったい誰でしょうか?
保護者だけでも、保育士だけでもなく…”地域全体で支える体制”が必要。
総括部分ではそう語られていました。知識だけではなく、視点を社会全体に共有していく必要があるということでしょう。
現場では、調理師や栄養士の皆さまが頑張って作った離乳食を、また別の頑張りで保育士の皆さまが時間内に食べさせなければならないわけです。こうしたプレッシャーの中で、安全やおいしさへの配慮が後回しになってしまうことは確かに有り得ると、以前に現場の方からも聞いたことがあることを思い出しました。
現場に責任が押しつけられがちですが、必要なのは現場の声を制度に反映させることです。専門職が連携し、安心・安全を確保しながら栄養と発達のバランスを話し合って、提供できる体制づくりや仕組みづくりが求められているということです。
そして、事故予防マニュアルはあっても、発達支援マニュアルがない!
これが誤嚥防止の一番の核心かもしれません。

マニュアルに従って”リスク除去”は進んできていると言えるでしょう。しかし子ども自身のチカラを育てる視点=発達支援は、まだ制度としては整っていないわけです。だからこそ、赤ちゃんの発達と安全の橋渡しが必要なのだというメッセージは、現場からの切実な提案であり、我々議員に求められている立法・制度的アクションとして受け止めました。
私たち地方議員が果たすべき役割は、保育・家庭双方への支援体制を構築することや、各自治体で実効性ある育児支援を制度化すること…専門職の学び直し・連携の機会を保障することなど課題山積だと感じましたが、取り組んでいかねばなりません。そして、子どもたちをを守っていくためには、社会全体で”育ちに寄り添う眼差し”を持つ必要があるわけで…皆さまの理解、協力も必要不可欠なのです。
長くなりましたが…自分ごととして、考えていただけたら幸いです!
本日はこんなところで。それでは、また明日!