未来拓く、みうらひらくです。
津山市議会議員、三浦ひらくです。
総務省が「2地域居住」の促進に向けた新たな支援策を打ち出したことが報じられています。
都市と地方「2地域居住」を促進、自治体支援強化…体験ツアー・交流拠点整備など後押し
これは、平日は都市部で働き、週末や休暇は地方で暮らすような“2拠点生活”を後押しするものであり、自治体に対して特別交付税による手厚い支援が行われるという内容です。詳しくはリンク先を参照していただければというところですが、何と上限ナシで最大半額を支援するという、国が2地域居住を本気で推進しにきたなという心意気が感じられるような(?)メニューです。

まぁ、地方を切り捨てるわけにはいかないけど、中央への人口集中を大きく転換することも事実上不可能な中での苦肉の策だと思えなくもありませんが…具体的には、都市部での相談会の開催やパンフレット・紹介動画等の制作などに加え、お試し滞在施設の整備や地域住民との交流イベント、移住支援コーディネーターの配置(1人500万円まで補助)といった取り組みに支援を行うという仕組み。
「地方に人の流れを生み出すための投資を後押しする」ものだと言えるでしょう。
これは津山にとっては大きなチャンスです。
こうした制度が生まれてきた背景にはもちろん、人口減少と東京一極集中への危機感があります。そして、これは“どこか遠くの話”ではないわけです。人口減少・少子高齢化の影響が出まくっているイナカマチ、津山市にとっても極めて重要なテーマだと言えます。
まぁ、これは多くの地方都市の首長や議員が同じように言っていることではあるのですが…津山は自然・歴史・食・教育といった資源に恵まれていると思っています。交通アクセスは恵まれているとは言えない気がしますので書きかけて抜きましたが…加えて、まちのサイズ感はちょうど良い規模だと思っています。岡山や倉敷にも車があれば何てことなく行けますし…高速を使えば神戸や大阪などへのアクセスは決して悪くなく…“都市に近い地方”としてのポテンシャルがあると言えるでしょう。

だからこそ、チャンス!
この国の動きを津山の追い風に変えていくべきなのですが…ただ、ここには一つの大きな壁があると思っています。
それは「子どもがいる家庭は動きづらい」という現実。
いくら週末等に津山で過ごすことができる環境が整ったとしても、「うちの子の学校はどうなるの?」という制度面での不安を乗り越えない限り、子どもがいる場合は多くの家庭は最初の一歩すら踏み出せないでしょう。
そこで注目すべきなのが教育の選択肢の柔軟化であり、具体策の一つが、最初に提案させていただいたのは令和元年になりますが…議会の内外で教育委員会に幾度となく提案や相談をさせていただいてきている「デュアルスクール」という仕組みです。
デュアルスクールとは?
これは、都市部と地方の2つの学校を行き来できるようにする制度で、区域外就学制度を活用することで、津山市においても簡単に(…と言うのは現時点で実現できていない時点で明らかに言い過ぎですが)…ともかく、実現可能だと考えています。

住民票は都市に置いたままで、長期休暇や定期的な滞在時に、地方の学校で学ぶ。
これにより、子どもは「津山で暮らす時間」を得られるわけです。親も、2地域居住を現実的に考えられるようになります。詳しくは上記のリンク先でもご確認いただくことができますが、実際にこのデュアルスクールの制度、あるいは派生型の同趣旨の取り組みを導入している自治体がすでにあるわけです。
例として、徳島県では市議会でも取り上げた美波町を筆頭に複数の自治体で先進的に制度化して実施しており、専門のコーディネーターを置き、学びの質と受け入れ体制の両立を実現しています。秋田県では夏休みが短く冬休みが長い特性等を活用して、「短期留学」と、希望に応じた「長期留学」を実施していますし、長野県塩尻市では小規模校への国内短期留学と謳い、興味深い取り組みを行われているところです。
ちょっと考えるだけでも、メリットはたくさんあります。
・子どもたちが、都市と地方それぞれの価値観に触れ、視野が広がる
・地方ならではの自然・文化体験による豊かな学び、癒し効果
・保護者もリモートワークなどを活用して新たなライフスタイルを築ける
・親子の関係人口化が期待できる

もちろん、課題もあると思いますが…解決できないことだとは思いません。
・学習進度の違いや教科書・単元のずれ
・心理的な環境適応負荷(友達・先生との関係)
・保護者の負担(移動・住居・手続き)
・部活動などの継続性問題
令和元年の教育委員会の答弁は、「地方移住等をする児童・生徒が区域外就学制度を活用することは、都市部と地方を行き来しながら学ぶことができ、教育の観点からも体験活動の充実や多様な価値観、多角的な視点など、児童・生徒にとって大きな学びになる可能性があるものと捉えている。今後、徳島県を初め他の自治体での取り組みについて注視していく」との、前向きな内容でした。
すぐに制度化するのは簡単ではないでしょうが、「ニーズがあったときに受け入れられる土台」をつくっておくことは、今のうちにやっておくべきことで、現在でも十分可能な話です。
国の動きを見ても、もはや静観している段階ではないことは明らかです。準備を始めておくことで、「都市部子どもと家族が津山市で週末等を過ごす」ことを、ただの夢物語ではなく、具体的な選択肢にすることができるはずではないでしょうか。
関係人口という言葉自体もそうですが、2地域居住、2拠点居住など表現は色々とあります。ただ結局のところ大切なのは、「人とまちとの関係をどう深めるか」という一点に尽き流と言えるでしょう。
津山の良さを知ってもらうためには、まず「来ていただく」ための仕掛けが必要。
そしてその後…「もう一度来たい」と思ってもらえるためには、「受け入れる側の覚悟と準備」が絶対に必要です。それナシに都合よくそう思ってもらえるはずがありません。デュアルスクールはあくまでもその一例ですが、教育という根幹から関係を育てる仕組みとして、大いに可能性があると考えます。

本日はこんなところで…それではまた明日!