スマホ何時間使ってる?津山市教育委員会の主張にエビデンスはあるか。

未来拓く、みうらひらくです。
津山市議会議員、三浦ひらくです。

この時期は全国の多くの自治体で議会が開かれていることだと思いますが…いわゆる12月議会、津山市議会の12月定例会は、ご報告しているように全23議員による質問戦が金曜日に終わったところです。

今回もクセスゴ!津山市議会12月定例会、全23名の質問動画完全公開!

2021-12-10

子どもに見せたくない答弁をして大丈夫?12月議会の質問概要解説。

2021-12-08

来週には常任委員会、特別委員会が開かれます。傍聴も可能なんだけど本会議と違ってYouTube中継もないので…正直、なかなか”開かれた議会”とは言いづらいよなとは思うところ。

そんな週末ですが…このところ定例会ごとに毎回書いている”世界一わかりやすい質問解説”の中で触れ損ねていた、今回も一部では物議を醸している津山市教育委員会への質問と答弁について、今日は改めて解説しておきます。

津山市教育委員会の答弁に対して「あの怠慢の一言でしか表せんような答弁は何なの?」「屁理屈!子どもに見せたくない!」というエキサイトした感想が複数の保護者の方々から飛んできた動画を、未見の方は是非チェックしてみてください。教育委員会への再質問タイムから始まるようにしてあります。

なお、動画を最初の方に戻って見ていただければ確認できますが、事前に下記のようなやり取り(要旨)があった後の再質問タイムです。

みうらひらく
新たに示された津山市の「学力」の目標値三つ。
全国学力・学習状況調査の偏差値で50を超えることと、家庭学習を1日1時間以上する子どもの割合を小学校で70%、中学校で75%以上とすることと共に、スマートフォン等の利用について時間・マナー等のルールがある家庭の割合を小学校で65%以上、中学校で60%以上にすることが設定されている。
最初の二つはともかく、三つ目の家庭でのルールづくりを、津山市教育委員会が学力の目標値として設定する意味が私には全く理解できない。
津山市教育委員会としては、スマホ、ネット、ゲームといったものをどう捉えているのか。
学力向上の妨げになると考えているのか否か、子どもたちの将来にとってマイナスなものだと考えているのか、どういう意図でたった三つしかない新たな「学力」の目標値に、わざわざ家庭でのスマホ等の利用時間・マナーについてのルールづくりを盛り込んだのか。
教育長
急速にデジタル化する社会の中で、ICTの適切な活用は、 これからの時代に欠かせない重要なこと。
しかし一方では、子どもたちがゲーム等に長時間を費やすことで、十分な学習時間や睡眠時間が確保できなくなることや、SNS をめぐるネットトラブルに巻き込まれることなど、将来に影響しうる、様々な危険を孕んでいると考えている。
また、新たな「学力」の目標値にスマホ等のルールづくり を盛り込んだことについては、スマホ等の長時間利用による家庭学習への影響が懸念されることから、家庭も責任を持ち、子どもたちが自ら利用時間やマナーを意識した適切な使い方について考え、実践できる力を養うことが必要と考え、 目標の一つに設定した。
みうらひらく
以前、市内のある小学校において、ルールを中学校の校則に準じたものとすることで足並みをそろえ、規範意識を醸成して決まりを守る子どもを育成しようという、個人的には暴挙だとも思える取り組みが進められている件について質問した。
その際に、校則などを決める際には実情を踏まえて児童・生徒が話し合う機会を設けたり、保護者の意見を聴取するなどしながら決定していくことが望ましいと考えるという、市教委としての見解をいただいている。
そして当該案件においては最大の当事者たる児童・生徒が話し合う機会が設けられていなかった事実を認めていただき、今後当該校では、見直し等の取組を進める際には児童・生徒も参加することとしていること、また市教委として、学校のルール等の制定見直しの際には、児童・生徒が課題意識を持って何らかの形で参加する必要があると考えているため、各学校へ積極的な対応を促していきたいとも答弁いただいた。
しかし結局のところ、当該案件についてはその後も一切児童への意見聴取は行われないまま、また保護者への詳しい説明もないままに、一方的にルールの変更がなされたことを確認している。
また市内他校においても類似案件があるようで、批判めいた声が届いている。
このような現状は子どもたちを守り、健やかな成長を促し、主体性を持った津山の未来を担う人材育成へと繋がっていく、望ましいものとは言えないのではないか。
そもそもその後、答弁いただいたような各学校に対しての指導は行われたのか。
教育次長
本年9月に校園長会議において、各学校で校則等を考える機会を設定するよう、学校長に対し改めて指示している。
その際には、組織的かつ計画的に見直しが行われる体制づくりとして校内組織を設置し、児童生徒に考えさせる場を設けたり、保護者等から意見を聴取したりするように指導した。

理不尽そのものであるスマホ・ネット・ゲームへの規制と、放置されまくっている時代錯誤甚だしい校則への適正な対応を促すために…子どもを尊重し、理不尽から守り、主体性を養っていくために…見て見ぬ振りはできない現状を改善していくための質問をぶつけたわけです。

しかしながら、結果は…動画をご覧になった方々の反応からも明らかなように、津山市教育委員会からは誠実さを欠く答弁が出てくるばかりでした。これは今回の質問の冒頭部分のやり取りの中で副市長が答弁の中で述べてくださった”当事者意識や責任感を持った”対応だとは決して言えないことは明白ですし…まさしく問題を”自分ごと化”できていないからこそ…こうした答弁が返ってくるのだろうと極めて残念な気持ちを覚えているところです。

副市長の答弁にもあったように、意識改革が必要です。

半ばわかっていたことではありますが…今回のやり取りを経て、これは特に教育委員会においては確実にDX推進以前の問題であると強く感じました。意識が変わらない以上、これはもちろん今までにも散々やってきたわけですが…色々と苦言を呈しても、様々な先進自治体から学んできた事例を津山市に落とし込める形で提言しても、全て無意味、無駄なのです。

だって、やる気がないんだから。

スマホの一律の時間制限は求めないけど、家庭でのルール作りは求めるとか…その理由は家庭学習の時間が確保できない恐れがあるからだとか…子どもたち自身の声もそういう現状を示しているとか…そうした一連の市教委の主張の全てが根拠薄弱であることを、私は再質問以降もやり取りで明らかにしていっています。動画をご覧いただければ確実にご理解いただけることだと思います。

もちろんスマホやインターネット、ゲームなどに対して、自分自身の意思でコントロールできないくらいに魅了されてしまう子どもたちがいることは事実でしょう。そうした場合、往々にして学力が低下することもあるでしょうから、適切な対応をとることが必要な場合も確かにあるはず。

しかしそれもケースバイケースです。

どんな施策であれ、全ての子どもたちに当てはまるわけではありません。何しろ津山市教育委員会も認めているように、一人ひとりの教育的ニーズは異なり、子どもたちは個性豊かで人それぞれ…一人として同じ者などおらず、誰もがかけがえのない尊重されるべき存在なのですから。

ネット・スマホ・ゲームの過度な使用を本当はやめたいのに、自分の意思ではやめられないという状態があること自体を否定しているわけではありません。ただ上手にコントロールできている子もいれば、保護者と相談した上で将来設計や自身の夢などの目的のために、長時間ネットに向き合っている子もいるわけです。

そしてさらに忘れてはならないのは、生きづらさと向き合う中でネットに助けを求めている子どもたちの存在で…いじめ対策や望まない孤独対策のための非常に有効なツールの一つに、ネット・スマホ・ゲームはなっているのです。

だからこそ一律規制は許されません。

さらに言えば大人たちの側にこそ、こうしたツールへの依存問題に直面している人間が少なくないのではないでしょうか?

例えばアナタは毎日何時間スマホを触っていますか?

そうした問題は放置されているのではないでしょうか?それとも教育委員会の所管ではないから気にしてもいないのでしょうか?見て見ぬ振りをしているわけではないと思いたいですけどね。

全国学力・学習状況調査の結果を見ても、ゲーム等に長時間を費やすことで、家庭での十分な学習時間が確保できなくなるなどという状況は少なくとも全国的には確認できない事実などを指摘した上で、津山市の公表状況が不十分であることなどにも言及し…現在、市教委に対しては調査結果のデータ共有、さらには公開を求めている状況です。

一律規制を求めているわけではなくルール作りを求めているだけだという主張は詭弁に過ぎないと感じており…実際現場では一律の時間制限をかけているのと同様の実情があることを複数の学校の保護者の声などから確認しています。

また何かしらの進展があれば当ブログでも共有させていただきますし…当然ながら、このままスルーすることは決していたしません。私にとって議会で質問することは目的ではなく手段、あくまでも目的はこの理不尽な現状を改善することですので。

何しろ本件は…昨年度の津山市では、親学講座の名のもとに極めて不適切な資料を用いたインターネットやスマホ、ゲームに関しての規制がなされていて、それがそのまま今年度も実施されそうな勢いだったので、私としてもそれを止めるために何しろ当初予算にも反対したくらいの意気込みを持って取り組んでいる課題です。

思い入れが強すぎて、ついつい熱くなって色々と書いてしまいました。ただ、いずれにしても本件は今議会でカタがつくようなことでもないでしょう。様々な考え方がありますからね。しかしそもそも考え方だの何だの前に事実として、スマホに限らず…どのようなツールでも使い方により毒にも薬にもなるのです。

校則の件については結局あまり触れられなかったので…そっちはまた次回に!

長くなりましたので、本日はこんなところで。また明日!

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三浦 ひらく

三浦 ひらく -PROFILE-

世界を暮らしやすく楽しく変えるため、相棒ひらくマと一歩ずつでも現状改善していくために日夜ハゲむ、1978年生まれの岡山県津山市議会議員。選択肢の多い社会を目指し、政治も手段の一つと捉え、地域振興、多様性理解促進、生きづらさ解消、表現の自由を守るための活動、インフルエンザ脳症撲滅、臓器移植意思表示推奨などをライフワークとして活動している。

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