未来拓く、みうらひらくです。
津山市議会議員、三浦ひらくです。
2021年11月13日(土)、この日…鏡野町の中央公民館にて特別なイベントが開催されました。
それが現在津山に逗留中の世界的彫刻家である武藤順九先生によるmy硯づくり体験であります。
本来は夏休み中に予定されていた企画でしたが、当時は新型コロナの感染拡大が激しい時期だったために延期されたという事情がありました。鏡野町の企画担当者が友人だったこともあり…参加させてもらえないかなぁというお願いを実は夏にもしてあったのですが、子どもたちに大人気で枠が余りそうにないという話を聞いていました。
順九先生には初対面時にお心遣いいただき、とても素晴らしい体験をさせていただいたことがあるので…こちらの体験にも是非トライさせていただきたかったのですが、子どもたちも体験したいだろうし、隣町の議員が出張っていくのもあまり適切ではないかという気持ちでいました。
余談ですが、未来を拓いていくため…ときには図々しさも必要だと考えております!
とは言っても、半ばあきらめていた中で…延期されたことにより、枠に余裕が生まれそうだという連絡をいただき、それならば是非参加させていただければ…という流れでお邪魔しただいた次第でした。
書画に用いる道具として、我が国で伝統的に用いられてきた硯(すずり)ですが…改めて言うまでもなく、現在の社会では墨を擦って筆で何かを書くあるいは描くという機会は、多くの人にとってはほとんどなくなっているのが現実です。
このままでは日本の芸術の根本的なところが危ない…世界に誇れる文化の一つである、硯で墨を擦って筆で何かを表現するという経験を、子どもたちはもちろん、大人にも今こそ改めて体験してほしい…といった思いがあって、以前紹介したようなお絵かき寺子屋という試みを、順九先生はあらゆる世代を対象にして行っておられるのです。
今回はそうした文化、芸術を生み出すときに非常に重要な役割を果たす道具の一つである硯…その硯を自分自身の手で作り出すという…極めてレアでエキサイティング、一生の思い出にもなるであろう体験をさせていただいたというわけです。
硯が仕上がってくるまでには数ヶ月は掛かるとのことですが、超楽しみです。
蟹でも食っているのかってレベルで皆が静かに大人たちが集中して彫り続けている姿は、ある意味で微笑ましく…いかにこの取り組みが皆を夢中にさせるものであるかを物語っていたと思います。
是非、子どもたちに挑戦してみてほしい!
そう思える企画内容でした。コスト的な面については鏡野町はかなり町の方で負担している部分があるようでした(この内容を2,000円で体験できるなんて!)ので…企画をそのまま津山市に落とし込んで行うことは難しいのかもしれませんが…津山市でも開催していただきたい!
津山市での実現を目指し参加してくださっていた市民の方もおられましたし…会の終了後にお話しさせていただいた順九先生の口からは、前回以上に強く津山市での取り組みへの意欲を伺うことができました。この先に考えてくださっている構想等についても少しだけお話しくださったりして、ワクワクしているところ。
前回参加させていただいたお絵かき寺子屋同様に、今回の硯づくりについても、順九先生は”こうあるべき”といった形の押し付けなどを一切されず…あくまでも参加者の作りたいもの、生み出したいデザインなどを尊重してくださいました。
世界的アーティストが、ある意味では素人皆の作品を認めてくださり、自由につくれば良いのだと言ってくださったわけで…自己肯定感醸成にも繋がることが期待できます。実際に学校では小学校低学年から彫刻刀を用いた授業を行なっているわけです。今回は大人ばかりだったことが残念だなと思った次第です。
ただそれこそ、こうした順九先生の取り組みは…来春の教科書に掲載されるとか、津山市での取り組みも含めて出版の話も出ているとかで…この先の展開がとても楽しみに感じられる状況にあるようです。
津山市内の楽しいこと、増やしていきたいですね!
今回の硯は間違いなく一生ものではあるのだが…ただ冷静に考えると、俺が死んだ後などに…例えば孫が「ウチのじいちゃん、43歳の時にこの硯をつくったんだよな…。」と思うデザインになった気はする。
「ま、ひらくじーさんだし!」
そう思ってもらえるような年齢の重ね方をしていきたいなと思った次第です。
あと、彫るという作業は極めて示唆深いものですね。
彫り過ぎても周囲をそれに合わせて全部彫らないとバランスが取れなくなったり…もちろん彫りが足りなくても思ったようには仕上がらないわけで…難しい。何事もほどほどが良いとはよく見聞きする表現ですが、それを実感させてくれる工程でとても良い!
温故知新という言葉も先生の口から聞かれました。かつて最初に作ったホームページのトップにはその言葉が踊っていましたし…今現在でも守・破・離を政治姿勢の根幹に置いている私としては、古いものを全否定するわけではなく…伝統や文化を尊重しつつも必要に応じてときに超越し、新しい何かを生み出すという形式で進められた今回の企画は…心地よく響くものでした。
本日はこんなところで。また明日!